903 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/14(木) 21:34:17 ID:uW897/hY0
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/ \
/ ─ ─\
/ (●) (●) \
| (__人__) |
./ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
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施設にはそれほど人が多いわけではなかった。
ちらほらと私服姿の人が見られるくらいだ。
大半はまだ仕事中なのだろう。
それに、リンクスもあまりここに遊びに来るわけではないらしい。
自分の家族を連れて訪れる者もたまにいるらしいが、
ここの利用者のほとんどは仕事終わりの企業の人間だそうだ。
一般市民はコロニーに押し込められて労働時間以外は
食事と睡眠くらいしか選択肢がない中、
企業の人間はこうして遊興に耽る自由があるというのも、
なんともやるせないものである。
とはいって、やる夫にはどうすることもできないわけだが。
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904 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/14(木) 21:43:22 ID:uW897/hY0
ア´ ,/ ハ `ヽ
ア " / , , ´,i i 丶
/ ' ' / / /{ l V
,' / ,/ , / / l : ! ゛ V
i ' /i /,' / /--- ミ : | i
l{ l7 ,イ / ∥ ∥_ ヤ l ;| l
| f ハ' { i Kて^ミト ヤ l ,∧ ' l l l
W l { {j、{ 〈 ! `゙¨^ ヾ、 ヤ⌒゙' l ' j
弋 : 八{` V ト ヘ、 `7下ミ,V ,' ! ごきげんよう、やる夫さん。
ィミ∠ゝ,、V .{ ⌒ ゞツ j/ / ,リ
/ ( / `ヽ '⌒V,、ヘ、 ' / イ ∥ お待たせしましたか?
Vヘ、 ミ 、,ト^⌒` ー 、_ 八 ' ,/'
`7ゝ ミ {.:.:.:.:` イ /1 7 「いや、色々あって……大して待ってませんお」
ゝミ=、´1.:.:.:.:........ 、 イ " {l /
`ソ />< ′
__ ,,,ィf ´ 〈´
,イ ヾ \ `ヾト。_
/ l `'く '丶、 Vハ ` <
.
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約束の時間丁度に来たダージリンと落ち合う。
服装はいつもと然程変わりはない。
まあ、変に気合が入っていてもどうかとは思うが。
「とりあえず、ランチにしましょう?
あちらの方にトラットリアがありますので、そちらはいかが?」
「……トラットリア?」
「イタリアンの大衆食堂のことです。
洒落た店で縮こまって食事をするよりも、そちらのほうが落ち着くと思いまして」
ダージリンが冷静に提案してくるので、素直に首を縦に振った。
正直、テーブルマナーなんてものの知識などやる夫にはないし、
ドレスコードがあるような店など入る気も起きない。
なぜ食事をする店で、あれこれと礼儀作法の実技テストの真似事を
しなければならないのか、生粋の庶民であるやる夫には分からなかった。
こんなことを言ったら、大抵のグレードの高い店には入れないが。
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905 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/14(木) 21:50:23 ID:uW897/hY0
トーイノ ヾ 、 /'i| |\ |ゝ「ノ|| | ', | / | | | / ,. ' ,.∠ヽ
ノ ゝ- 、 ヾ、/' || | \ |「 ̄|.|| | ', | / | | | / ,. ' _,r'-ヽf¨¨ ̄
´|.|`ヽ、 \ ノ-〈 .|| |__ \|| ij..|.|| |__',_____.|____/_____.| | / ,. ' _,. |-―‐:|:i:::::::::::
(○) \`/ \ .|| | ヾ―‐ヽ| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄! ! / ,. ' _,. ´ .|::::::::::::!:j,.-=ニ
. 〕〔 ハ ',. \|| | .| ̄ ̄| 「 ̄ ̄i|┌───‐┐ .| / ,. 'ri、_,.jゝ、 _ _,.ゝ-=ニ
-―-ヽ i i 〉|| | .| | |===== .| 「 ̄ ̄ ̄i | .|∠,.__'iri,.rff {' if j lィ'´---ヽ __,.. -=ニ
\', } l .//|| ト、_ .| | |__ | | .l | .| f f |r三=‐¨ | ハ、ノノ } } rニ-‐.i=f''ri´
i i .,!,' // || |:::::{ー、 | | |=、、i | .| | .l | .|__-=iir、iir'ヽ=ニ.ゝ i_ノ_ノ__| r'コ .|_|ー_
ノノ / \/ || |_::〈:::::∨!¨ゝ、 | |_゚,j.}!.| .| | .l | .| | | |! |!|!_j_,.「r‐‐i |==‐‐i |¨¨´ ̄
_,.. _ 〈 ./ /ヽ 〈 || |::ゞ:::ー<_:::>::└ィ .| |三'-」 .| | .l | .|‐ry.v、ハ八_,.|.| --!.|i|.|-―l |――――
¨¨¨¨´\ / ヽ∨ || |::::::ハ:ゝ:::゙<、::i::{...| | |c== .l |____ |_,|..!]! {!]|] |__|.|__|.|]i.| .!.| r-r┐>-
、__,.ノ_,.、ー=ニ ',∨|| |\::ノ':::::::::Vー,ノ,..| | __,.|」 ト\ `{_}-=┐」|r‐-iT| !== !.!ト|!==|.|ー-= /
`¨¨// > 、ー'ィ..|| |:::{:)ヽ'::トシ:ィ-_,.ー.|__..|=-=ヾr‐、∨ ..| |\\ `´ ゝ'ュ=-|.| .,_ノ!|=L、 .!.!「r-=|!
ー''´ー―――‐一 ゞ' !! |::Y:::::}_;::i-=>ニ=-ヾ、ハ i|! ',.〉‐=‐-r1.| .| \ \ |.| fー||ニ=-|‐r|.l≦三|!
========!|_,.=イ''.| { r'' ∨i i! // ̄ ̄ ̄∨'、 \ \ ,|.|八:|.!::::::::| .|.!.! `¨¨
| |´ .| ∧∨ ∨! }!' ニニニニ三、' , \ \ ` < ィニニ≧ |> 、
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店の外観には煉瓦造りを模したペイントがなされていた。
中世を意識しているのか、内部もウッドテイストの調度品で揃えられ、
小洒落た砂時計や陶器のインテリアがところどころに配置されている。
ランチタイムであるにもかかわらず、人の入りはまばらだ。
オペレーションスタッフや企業の従業員たちも、ほとんどは
カフェテリアの方で済ませてしまうのだろう。
愛想よくカウンターの店員から出迎えられながら、
「そういや、店員さんって企業の人なんでしょうか」と素朴な疑問を口にした。
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906 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/14(木) 21:57:46 ID:uW897/hY0
-──-=ニ _
< > > 、
/ `ヽ
/ / \
/ /
/ / . イ ム
./ / / / | ム
/ .イ ー/--ミ }
{ { {从. | / 八\ .小|
.八 '. │ >={ .| 7 V / } ./ .j
V ', | / ヘV 小{ 、 __ V / .ム'
V\ ', ハ ( ( Y \{ | ヾミ ( V./
V 彡ヘ \ー \{ Y
( 人 ー /
イ Y )⌒\ j (_ア
弋 イ⌒Y ハ / / __
V_匕人/ \ /⌒)¨´ / /
/ニ| \ { 寸 / /
/ニ二| >)__ \__ / ∧寸Yヽ
/ニ二二| イ、 `Y:i:i:i:iYVニニニ / .ムイノノヽ)
イニニニニニ二|/ニニニ\寸:iリ Vニニニ. / イ寸}
|ニニニニニニニニニニニニ二\V:iム |ニ{ニニ ∧ | 丿
|ニニニニニニニニニニニニ二二\寸|ニマニニ r匕ニニ=ー-r
|ニニニニニニ|ニニニニニニニニニ二\|二\ニ /ニニニニニニ<
|ニニニニニニ|ニニニニニニニニニニニニニニニニV /ニニニニニニニノ
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「このような時代でも、娯楽や食文化が捨て去られたわけでは
ありませんからね。シェフやバリスタ、ソムリエやバーテン、
そういった職種の人間を養成する施設がIGIO管理下のコロニーに
隣接していると耳にしたことがあります。
といっても、需要があるのはこういった場所だけで、規模も数も少ないようですが」
向かい合う形で席に着くと、ダージリンがソムリエだとかバリスタだとか
よく分からない単語を口にしながら、丁寧に説明してくれた。
そこでダージリンは寂しげに目を細めた。
「……ああ、ただ芸術だけは衰退してしまいましたね。
文学、音楽、美術、映画……どれも過去の作品を復元したものばかりです。
そういったものへの規制が企業体制になってから激しくなったというのも
ありますが、単純に素晴らしい芸術を生み出せる人間が減り、
人類そのものが戦争ばかりに傾倒していった節もあります。
こればかりは、嘆かわしいですね」
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907 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/14(木) 22:18:55 ID:uW897/hY0
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. >''^´ `´ `''<
ァ' ヽ
. / ∨
. l l / ,, - 、 }
. | | | { / } ヽ从
从_ゝ / / ソ-、 (フレンチレストランやリストランテを避けて正解でしたわ……
. ∨ :: ) ̄ ̄,, ≠ミ ―アヽノノ
ゝ Y )‐v‐く 八 Y⌒ 人 そういうの、苦手そうですし)
( ゝァ (__ノ彡::イ::__::彡ノノ
'^⌒`,|>ゞ-、
/ ―――’、
,ィ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iヽ
. /:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ハ
. ,ハ:i:i:i:V:i:i:i:i:i:/:i:i:i:i:i:i:i:/i:i:|_
. /:|:i:i:i:i:i:|:i:i:i/:i:i:i:i:i:i:i:i':i:i:i:i:i7
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リンクスになる以前は、企業の人間はさぞいいものを食べて、
面白おかしく暮らしているのだろうという認識くらいしかなかったが、
当たっていたのは前者だけだった。
彼らもまた、この戦争経済の中に押し込められて生きているのだ。
それならば、命を懸けている分食事くらいはまともなものを
摂っていてもばちは当たらないだろう。
どんなものが食べたいか、とダージリンが探るようにやる夫の目を見る。
どうやら気を遣わせてしまっているようだ。
さすがに自分のことくらいは自分でやらなければならない。
風情のある白い木枠の窓際に立てかけられたメニューを手に取る。
雰囲気を重視してか、厚い紙に料理名だけが羅列されていた。
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909 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/14(木) 22:25:35 ID:uW897/hY0
/ /' / / ,:'くヽ/ \ ,、 ヘ /i
,:' / ,: ' / ' / / ,:'/ /\丶\ゞ」 ノ 丿
' ,: /' / ̄ ̄ ;;\\へ\ || |/
' / ,:'/,: /(〇) (●);\ Y´ |ノ
/,: / (__人__) :::::::;;;;;;;;;\ ,:'/,: /'
/ ,:'/, |;;;; ::::` ⌒´:::::;;;;;;∪;;;;;;;;;;| ' / / ,:'/,:
/ \;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,/' /
/ /' / ∪ :::::::::;;;;;;;;;;;;;\'/ /'
/ ,:'/,: |::Y ::::∪;;;;;;;|;;;;;|/ ,:'/,:
||∪ :::::::;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;;|
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致命的だった。
どれがどんな料理かさっぱり分からない。
肉料理なのか魚料理なのか、主食なのかつまみなのか、
一切てんで分からなかった。
謎の横文字たちとにらみ合っていると、
ダージリンが「ええと、どんなものが食べたいですか?
パンとか、お肉料理だとか、パスタとかピッツァとか……」と心配そうに声をかけてきた。
「……ダージリンさんと、同じので」
ルルーシュさん、C.Cさん、なのはさん、ごめんなさい。
自分には女性のエスコートどころか、店での注文すら至難の業です。
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910 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/14(木) 22:31:39 ID:uW897/hY0
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/ ─ ─ \
/ (●) (●) \
| (__人__) | (わけわかめ)
\ ` ⌒´ ,/
/⌒ヽ ー‐ ィヽ
/ ,⊆ニ_ヽ、 |
/ / r─--⊃、 |
| ヽ,.イ `二ニニうヽ. |
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やる夫の返答を聞き困ったような笑いを浮かべながら、
ダージリンは静かに手を挙げた。ウェイトレスが注文を聞きに
大股に歩み寄ってくる。
慣れた様子で、タリアテッレであるとか、ミネストローネであるとか、
呪文じみた注文がダージリンの口から流れるのを見つめる。
これはやってしまった。
エスコートだ女性の選び方だの前に、一般教養をもう少し仕入れておくべきだった。
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911 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/14(木) 22:40:56 ID:uW897/hY0
_,,..-‐'' / /^ `丶、
, -'" /
l ヽ
/ / /l ,
,' / / l ,' ',
,' / / / l |
/ ' '´/ ̄ ̄``Vヽl、 | l } }
{ ,' l | { / -- V | V|\ | }
{ ! ,从 .| l ,l ,' _ ヽ| V| '⌒ヽ} l}
| l ヘ |ハ { =≠≠ミ ヾゝ Vl/ } l}
:. l人 ∨ {l ヾ _ / / / まあ、接待というわけでもなし。
, -\ { ヽー、 寸ー ⌒ヾ>/ /}/
./´/⌒\ - 、>ゝ , // ゆるりといきましょう、ゆるりと。
l { l }⌒}:.. ` ‐ /)}
` \_{、_ノヽ j .、 ィ
人 ゝ _′ > _ <ハ)
`ー//}h、 {r ̄-/
///////}h、 K ̄
, -'"////////////}h、{//\
__,,..-‐''//////\//////////ハヘ/\
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やがて料理が運ばれてきたが、これまたどういう料理なのかさっぱりだった。
潰したトマトと挽肉を合わせた麺料理と、野菜や豆のごった煮としか
表現しようのないスープだった。
こんな表現の仕方しかできない時点で、品格が知れるというものだろう。
なるべく下品にならないようにゆっくりと料理に手を付けていると、
ダージリンがふと思いついたといった具合に手を停めて口を開いた。
「やる夫さんは、リンクスになる前はどういったことを?」
「何かをしていたわけではありませんお。
ネクスト戦役に親が巻き込まれて、就労できる年齢でもなかったから……
市民IDも更新できなかったせいで消えてたし……」
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913 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/14(木) 22:49:42 ID:uW897/hY0
/ / \ \
/ ./ / ヽ \
. . / / . . ヽ
/ / /| iト、 ∨ ./ ハ
. / / l! .! \ _ ∨ //
i / _ | 从 \´  ̄ ` . ∨ i
l /'´ 从 \ ⌒\ i ! |
| ! { ´人 ヽ \ . | i l i !
N l | ハ \j\j =≠彡ヽ ! ト. i | ! l|
人 | i ! / ハ =≠彡 Ni| l!ハ 从 j リ
Nル' j/} ' | l|リ j / ∨/./
//| _ _. __ノノ ムイ Y´ ̄`メ.
. レ从 ´ __ / { }
/\ . ィf ´ 人 ! メ、
〈 ト . . |__r‐y'´{ \ノイ }
`弋フ ≧=て! | ∨ .从 __ ノ j ノ
` 弋 __ ノ/} / j! __ __ ノ
/7/! / /ニ\
x<7/ j / / /二二.\
x<二ニ7/^~ く /ニ二二二.\
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ダージリンの表情が曇ってしまったので、やる夫は慌てて話題を変えた。
少し露骨な切り口だったかもしれないが、このまま沈黙が二人の間を
支配するよりはずっとましに思えたからだ。
「そんなことより、ダージリンさんはどんな作家さんや音楽家さんが好き
なんですかお? この前、本を読んでるって言ってましたけど」
「トールキンなどは好きですよ。
旧イギリスの作家で、騎士道物語やファンタジー小説を書かれていたそうです」
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914 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/14(木) 22:55:37 ID:uW897/hY0
-───-
_/ \
/ 、 \
\ ',
{ l 、ー==, ', }
丶 \尤孔 l、 } /
乂lミー ヒ八| ノリ ) // ノ_
r' .:.:. |/ r ' ⌒-く }
、 _ _ 小 ゝ‐)-ノノ お恥ずかしい話ですが……結構、空想が好きでして。
r丶__ ィ ィi〔ヘ⌒´
r^Y ヽ/ ,-<///ハ 幻想の世界を描いた作品を読んでいると、
ト、Y //////ヽ /∧
ゝ‐ /{'//////}///ハ なんともいえない胸の高鳴りを感じるといいますか……
У/ }'//////}////}
f'////}'//////}'///リ
{////ノ///ヽ// '///
V///‐////ハ} ///{
、__, --ァ===‐`ソ///////リ ///{
と  ̄ f//f'///////////////// ////L
ゝ 人'八//////////////// /////八
`¨¨  ̄`ー───r''  ̄ ̄ ////////丶、
ノ////////////////ハ
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
好きな小説の話になると、ダージリンはそれまでのぎこちない態度から
楽しそうな話し方になった。
人間は誰しも、好きなものについて語るときは活き活きとしているものだ。
やる夫としては、そういった人の方が好きだった。
何かを悪く言うときに活き活きしている人間よりは、ずっと好感が持てる。
「一時期はファンタジーの世界に現実から逃避する、
という風潮もあったようですが……本来、ファンタジーというのは
都合のいい世界ではなく、未知のロマンにあふれた世界なのです。
見たこともない生き物や魔法、文明や国、冒険や恋。
非現実的な世界は、子供のころに置き去りにして来たものを思い出させてくれます」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
915 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/14(木) 22:58:58 ID:uW897/hY0
____
-―/ `゙'く ̄` 、
/ \
/ / \
. / / 〃 ヽ
/ / {{
. , { , 〃 / ノ| }}
{{ { { i i|_ // | /八 、 ;
{{ { { l ||( //`ヽ八 { / } },/ }
{{ { { l ||/ィ芹冬ミ、 \}八''⌒犲 / } やる夫さん、このような言葉をご存知ですか?
. 八 \\八( 从弋ぅ丿 ^ )イ芳ミ刈 / i '
/\\\\)小、 Vリ /i|/ /}/ 「多分、知らないと思います」
{ `⌒ヽハ八 ゝ /,八/ /
{` ー==彡ヘノ'⌒\ 、 __ ' }}
` ー===彡/ \ /ー=彡′
^ー=/{ \ イ㎜o,
/:::\ リ爪㌘””””´\
人:::::::::` ー==だ以:\. . . . .ヽ ;
,,<㍑%\::::::::::::::/^‘,. \} .\. . } }
,,<㍑㌘^. . .\:::::::{. . . ‘,o . . . . `弋.\
-==-
。s≦ ≧s。
ィi〔 〕h、
// \
/-‐  ̄ ─ 、 \ ヽ
イ \ \ ヽ:.:.:., ヽ
./ ! {、 ∨ \ \、 ヽ
/ { .v\ ∨ ∨ 、 .∨ }
∨:.\ __∨ ∧ ∨ \∨ !
' i i ∨: : ~'< 、___∨ ! ! ∨ i!__
i | ' \ ∨ i/ ``~、、~', |从!〕iト、_ { .\ 『道が舗装されていたら、
i | ':.、 )h、 、 ィ尓示ミY i i リ __ ',:.:.:}/ ̄\ ,'
i |, ',:.\ヽ 、 \ i/ 寸し:} } !∨ /}'´ }、/ Y/ 正しい道など分かるはずがない』
i | 、 ∨:.:.ヽ)h、 〕iト 乂ヽツ i/ ∨' )ノ ,イ:.:.\ リ}
i | ∧{ヽ ',:.:.:∧弋h }ノ _〃从Υ~ヽ ,イ_i! とある黒人ミュージシャンの言葉です。
∧ , ∧, )h、、:.:∧ 刈 /:.: '乂__ノ~~´
∧, ヽ ヾヽ∧ ヽ /:.:.: ,
.∧ 、 ノ , ':.:.:.! }
)h、 ` /:.:.:.: }_、+''"~ ̄}
≧s。 /!:.:.:. ィ( /!
___〕≦/イ __'__}
/-=ニニニ/)∥ ィi〔ニニニ=-∨
/-=ニニニニ/´∥ /.ニニニニニ=-∨/
,-=ニニニ,イ::/7._/ニニニニニニニ=-}
916 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/14(木) 23:06:21 ID:uW897/hY0
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/ ─ ─ \
/ (●) (●) \
| (__人__) |
\ `⌒´ ,/
/ ー‐ \
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「聞いた人によって、受け取り方は様々でしょうが……
私は、『誰かにお膳立てされた生き方が正しいはずがない』
という意味に聞こえました。誰かが整えてくれた道を行くより、
たとえ誰も通った跡のないような獣道であっても、
自分の意思で選んだ道こそが信じられる道である、と。
現実であろうと幻想であろうと、誰かに整えてもらった
人生に納得できる結末があるはずがないのです」
お膳立てされた生き方。
それはそれで楽そうではあるが、何か上手くいかなかったとき、
きっとその人は道を整えてくれた人のせいにするのだろう。
何かを選ぶときに誰かに従えば、きっと助言をくれた人を恨むのだろう。
人間の感情が矛盾と傲慢さで作られていることくらいは、やる夫も知っていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
917 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/14(木) 23:11:20 ID:uW897/hY0
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'
/ / / / ', 丶
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' ー- _ / } } |
l { / /, -'"`丶 } } |
l l / /、,ィ犹ミヽ ,' |
\r‐-ミ__ノVl / レ' ` |Jf / / / .'
\ { }l 乂 ハ ヒソ // // }/
γ\〉 八 \Y 丶´ だから、あなたが私の誘いを保留にしたとき、
弋⌒ ヽ \ /
{ ハ } \/⌒ ャ ァ ' この人なら信じられると思ったのです。
乂 乂_ノ/し∨ _ /
 ̄ ̄ /≧=- _ l> __/ あなたはきっと……
/ニニニニニ>、
./ニニニニとつニ/:.}L
//ニニニ\ニニ/: : }L‐- _
./ニっニニ/ : \ニ{: : : :oL:  ̄ヽ.、
〃ニニニ/: : : : : : : : : : : :}L: : : ',:丶
/´: : : : : : : :\: : : : : : : : : : :}L: : :l: : \
.. ____
/ ― -\
.. / (●) (●)
/ (__人__) \ 「信じられる道を選ぼうとしている人なのだと。
| ` ⌒´ |
. \ / そして、その先の結末を、誰のせいにもしないのだろうと」
. ノ \
/´ ヽ
918 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/14(木) 23:17:44 ID:uW897/hY0
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/ \
. / \
. / ― ー \
| (●) (●) | ……やる夫は、ただ。
. \ (__人__) /
. ノ ` ⌒´ \ この力を、金や名誉のために使う気はないだけですお。
/´ ヽ
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リンクスになれれば、ネクストに乗ることができれば、自分も戦う力が手に入る。
そう思って、やる夫はリンクスになりたがっていた。
金が欲しかったわけでも、良い暮らしがしたかったわけでもない。
自分の行動で、自分が存在することで、誰かが助かったり喜んだりする。
それ以上のことが思いつかなかっただけだ。
その手段として最も大きなものが、リンクスとして戦うということだった。
マーシフルがあれば、多くのものを守れる。手が届く。
過去の記憶の欠片が、心の水面にぷかりと顔を出す。
荒んだ日常と、その中で過ごした日々。出会った人。
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919 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/14(木) 23:24:40 ID:uW897/hY0
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/ ― ―
/ ( ●) (●)' ∫
| (__人__) | ∬
\ ` ⌒´ .| ̄|
____/ ー‐ '-|_|)
| | / / __/
| | / / |
| | (  ̄ ̄ ̄⌒ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
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ストリートチルドレン時代の記憶が脳裏をよぎる。
明日なんて先のことなど分からない日々の中、
あの時、ほんの少しだけ、自分の生に意味を感じられた瞬間があった。
それからというもの、やる夫にはこういう生き方しか思いつかなかった。
やる夫とて生きている。
食事や睡眠をとらなければ生きてはいけない。
だが、他に何か意味のあることと言えば、それくらいしか思いつかなかった。
やる夫にとってはそれが当たり前だった。
どんなに美味しい食事も暖かい寝床も、この鼓動すらも。
誰のためにもならないものであるのなら、必要ないと思えてしまった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
920 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/14(木) 23:36:49 ID:j42QeMw.0
´ - >- _
/ / 丶
, ' / | ヽ
.′ / /l 丶
l / ', ', ヽ ヽ}
| { l ',l ヾ、 ィ⌒l } l|
{ { { l ̄ ̄`乂ヘ,ィ拆V l}り
入', {,ィf俐}` `¨ヒリ ノノ
マ {\ Y Vり 丶 lリ
)ヽ ゝーヾゝ ′
八 ノヽ ̄`i 、 `´/
ゝ乂_ソア、__ ≧f7´
_, -'"‐、//〕iトソマ、 _ _____
./'⌒ヽ `マ// {l ヾ`ーミ /-‐ つ¨ - - Y
' ', `´ ヾ゚ lγ´ _ ィヾ───ノ
| l l \ //L ソ `¨¨¨¨´
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時折手を停めながら言葉を交わしつつも食事を進め、
目の前の皿が空になるころには腹も満たされた。
自分一人の食事であれば大した感慨もなかったが、
誰かとこうして温かい食事を共にするというのは、
やる夫にとってはとても有意義なことに思えた。
「実は、やる夫さんにも一冊ほどお勧めしたくて。
ニッポンの作家さんが書いたファンタジー小説なのです。
『勇気の物語』というのですが……」
ダージリンがいそいそとジャケットの胸元から一冊の文庫本を取り出した。
この時代に紙の本というのも珍しいが、小説などの娯楽の品であれば、
そういった風情なども重視されているのだろう。
本には素朴な少年と、黒いローブを身に纏った人間が描かれている。
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921 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/14(木) 23:54:11 ID:j42QeMw.0
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. >''^´ `´ `''<
ァ' ヽ
. / ∨
. l l / ,, - 、 }
. | | | { / } ヽ从 その小説は、感動できるとか、爽快感があるとか、そういうものではなくて……
从_ゝ / / ソ-、
. ∨ :: ) ̄ ̄,, ≠ミ ―アヽノノ 描かれている人々が、とても美しいのです。
ゝ Y )‐v‐く 八 Y⌒ 人
( ゝァ (__ノ彡::イ::__::彡ノノ
'^⌒`,|>ゞ-、
/ ―――’、
,ィ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iヽ
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「やる夫さんも痛いほどわかっておられるでしょうが……
人間は愚かです。何千年も血を流し続けて、それを止める手段が分からないほどに。
ですが、この小説には……人の愚かさの奥底にある、
これだけは捨て去ってはいけないと信じられる、
そんな意志の力が息づいているように思えてならないのです。
よければ、お暇なときにでも」
受け取り、見つめる。
ひっくり返してみると、カバーの裏にはあらすじが書かれていた。
国家の枠が消える以前、誰もが教育を受けられた時代。
一人の少年が自分の周囲の過酷な運命を変えるために、
そこであるものを手に入れれば一つだけ願いが叶うという
幻想の世界に旅立つというものだった。
ダージリンが言うような逃避行ではなく、確かな目的のある冒険譚のようだった。
礼を述べてジャケットのポケットにそっとしまいこむ。
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922 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/15(金) 00:03:29 ID:w0oT9c/s0
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l l / /、,ィ犹ミヽ ,' |
\r‐-ミ__ノVl / レ' ` |Jf / / / .'
\ { }l 乂 ハ ヒソ // // }/
γ\〉 八 \Y 丶´
弋⌒ ヽ \ /
{ ハ } \/⌒ ャ ァ '
乂 乂_ノ/し∨ _ /
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./ニニニニとつニ/:.}L
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./ニっニニ/ : \ニ{: : : :oL:  ̄ヽ.、
〃ニニニ/: : : : : : : : : : : :}L: : : ',:丶
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「物語というものは、何も夢を見せるだけのものではありません。
小説や漫画というのは作者の魂の切り売りという言葉もあります。
人を楽しませるような作者のユーモアがふんだんに盛り込まれたものもあれば、
作者の世情への怒りや人への嘆きが垣間見えるもの
といった具合に、様々な思想に触れることができるものなのです。
これは私の好きな作家の言葉なのですが……
『私の物語の登場人物のモデルは全て私だ。善人も悪人も、
優秀な人も落ちこぼれも、男も女も、子供も老人も、
全て私の心から生まれたものだ』と巻末に書いていたこともあります。
お話というのは、描いた人の心の産物なのですよ」
ダージリンが熱弁する。
心が生み出したもの、という言葉にはやる夫も興味を惹かれた。
そして、少しだけみじめな気分になった。
今のやる夫の心から生み出せるものなど、たかが知れているだろう。
自伝など書こうものなら、それはもうつまらないに違いない。
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923 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/15(金) 00:15:02 ID:w0oT9c/s0
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/ l! ヽ ヽ
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| |', || ,ィア示豺 ヽ l .l∨ }ニ=-、
|^从 | ′f (_リ′ }l /l '⌒ヽ γ´ ヽ あら、もうこんな時間……
| / ハ rミヾ ゝ' "" ーイ /l / l/ } V }
{l { | Y リ ノ′ / ノ / γヽ 丿 「む……じゃあ、そろそろ」
V ∨', l| r′ ι / イ ,イ (
',:| l /ヽ ̄ ノ ノ ええ、久々に誰かとこのような話ができて、
'从|ヽ ′ ∨ / フ
_,,..-───‐- ..,_ヽマヽ ∨ / ノ ァ‐' 楽しかったですわ。
〈 Λ Λ ∧ 〉 、 ィ : ∨-ゝ-'
_ r‐Y〈 〉 〈 〉 〈 〉 { 丶- ⌒ヽ ィi〔/ハ__ また二人でお茶しましょう?
` 、 ヽ_r⌒ V∨_∨_∨ ノ } ィi〔////>''辷ァ、
ヽ }\ `<r===r>´ _ ィi〔///////: : : : : :ヽ: ヽ
', `ー辷二二二ニ= _,,..-マ/,とつ/// : : : / : : : : : : :.
、 ノ / }///ハ'///// : : : : : : : : : : : : : : : :.
ノl l//)> ノ/,/: V//: : :/: : : : : : : : : : : : : : : l
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色々と話し込んでいるうちに、結構な時が流れていたようだ。
人間は楽しい時間ほど短く、つまらない時間ほど長く感じるらしいが、
それはどうやら本当らしい。
といっても、例外もある。
必死な時だ。何事においても必死になっていると、時間も早く過ぎる。
ストリートチルドレン時代も、辛くはあったが、長くは感じなかった。
その日の食事と寝床の確保のために暗い路地を這いずり回っていれば、
気付けばいつも日没だった。
ダージリンに別れと感謝を告げる。
やる夫としても、誰かと話すことは好きなので、こうして会えたのはよかった。
なんとかそう伝えられないかと笑顔を作ろうとしてみたが、
どうにも上手くいかなかった。
思えば、もう何年も笑みを作っていない気がする。
愛想笑いをする相手もいなければ、誰かと笑い合うこともなかった。
最後に笑ったのは、あの子の前が最後か。
テーブルの隅に置かれた端末に触れ、決済を済ませて立ち上がる。
優雅に手を振るダージリンに見送られながら、やる夫は店を後にした。
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924 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/15(金) 00:15:34 ID:w0oT9c/s0
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925 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2019/03/15(金) 00:46:06 ID:w0oT9c/s0
ううむ、集中力が限界を迎えたようだ。書こうとしても頭が真っ白で何も思いつかん。
というわけで今日はここまでだ。あ、ダージリンの進めてきた作品は実在するが、存命の作家のものなのでぼかした。
まあ、知ってる人は知っているだろうが……
それじゃ、シーユーアゲイン。
【安価】やる夫は誰かのために戦うようです 17