◆x0SRSoJXe.

【安価】やる夫は誰かのために戦うようです 83

3212 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 20:08:30 ID:NjlOvYzI0

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          /      \
         /─   ─   \
       / (●) (●)     \
       |   (__人__)      |       はやてさん、寝てるお……
       \   ` ⌒´    _/
        / l        ヽ          
.       / /l       丶 .l
       / / l        } l
     /ユ¨‐‐- 、_     l !
  _ /   ` ヽ__  `-   {し|
 /          `ヽ }/
            / //
  ,,, __ ___ _/ /_/

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朝日を瞼越しに感じて目を覚ますと、
隣で暢気な寝息を立てているはやてが横になっていた。
他人には絶対に見せないであろう、寝間着にすっぴん、髪もぼさぼさ、
というあられもない姿で、口をぽかんと開けて涎を垂らしている。

あれからというもの、夜にははやてと一緒の和室でテレビを身ながら眠った。
いつの間にか、それが二人の間での自然な流れになっていた。
女盛りの美女と一緒の部屋で眠って、我ながら辛抱堪るまいと思っていたのだが、
あまりの自然さに、それが当たり前となっていき、抵抗も緊張も消えていった。

無防備な姿を見せられていることで、自分とはやての関係を錯覚しそうになる。
恋人でも家族でも、友人でもなんでもない自分たちは、なんと呼べばいいのだろう。
寝返りを打つ彼女を見つめつつ、体を起こす。

たまには自分が朝食を用意しよう。冷蔵庫の中身や、
調理器具の配置はある程度把握できていた。
トーストとコーヒーくらいは用意できるはずだ。
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3213 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 20:14:18 ID:NjlOvYzI0

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             /      \
           /   _ノ   ⌒\
          /   ( ●) ( ー)ヽ      「おはよ~」
            l        (__人__)   |
          \     ` ⌒´   /       おはよう、はやてさん。
          /      __    ヽ
           |  、    |~|      ヽ     
         ゝ_ ̄つ=====と )
                ̄ ̄





            .. -‐‥…‥‐- ..
            /: :⌒: :⌒: : : : : : : : : : : : ,
.        /: :/: : : : : ,ヘr 、: : : : : : : : : ′
        /: :/   /   / '^i^i }       . :
.       /: :/ ; i i {_,. {   l |: :}: :: : : : : : : : :.;
      /: : i i: :|: :|癶「乂  | l ノ: :/、/}: :i: : : i
      { {: :|: :|: :{ィ芹芋ミ  jノイ//: :/7/> : :!
      { {: :ト、乂个゚辷ノリ   芹芋ミゝ</>: : :j
         '.: :八 i:i  ¨´      辷ノリハ>/∨〉/
       j/: :: :从 """   '    ¨´  ノ: : 〉〈       あー……先起きてたんか。ありゃりゃ、パンにコーヒーと。
    °  }: :: :iハ \   - 、  ""゙厶イ: : 〈∧〉
.  ι     j|: : ∧ \ \      _,イ : :./: :,小、       おおきに。
       _」!」L.._〉、 ',_} `ー‐ 'i/./ /_/川 :
     /\  `ー\ ヽ    人_/ /  ⌒ヽ} :        「はやてさん……胸元、ボタン外れてますお」
     i   ヽ  \ } }  /. // /      `ヽ
     |     '.   / /` ´〉/¦   /    '.       んん……あー……。
.     〉       // 、,〈 { 乂 ,f      /  
    /}       i   {   i 〉   ,f       /、
   /∧: .、__    |  \¦/    「   、_  {: :}
    { {: :\    │   .Υ    i      / ノ}
    {人 }      '    |    /       /: :}
      )ノ.      '.、_,ノヽ、 __.;      ハ丿
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       '.       |  |. /     V
        ヽ     l  | i       〉
           ノ       〉、 |      /,
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あれから二日が過ぎた。
あまりにも穏やかな日々に、戦場で聞き続けた轟音が大昔のことのように、
もしくは映画の中の出来事のように思えてきた。

忘れられたわけでもないし、この先忘れることもないだろう。
目を閉じる度、暗闇がスクリーンとなってその光景を映し出す。
日常の中に埋もれていっても、決して消えはしない。

けれど、目の前には、それを悪い夢だったのだと、
そっと言い聞かせてくるような優しい日々がある。

平和な世界で生きていいのだと、言ってくれる人がいる。
それに罪悪感を抱きつつも、甘えずにはいられない自分がいた。

寝間着のまま台所に立ち、トーストを二枚棚の上の白いオーブンに突っ込み、
インスタントコーヒーを入れたマグカップへ沸かした薬缶の中身を注ぐ。
彼女も自分も、たっぷりのミルクに角砂糖が二つ。
軽快で長閑な音ばかりが静かな台所に微かに響く。
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3214 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 20:15:07 ID:NjlOvYzI0

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        /      \
       / ─   ─   \        「今日はちょっと本社の方に顔出してくるさかい」
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      |  (__人__)       |       分かりました。掃除とか色々済ませておきますお。
       \ ` ⌒´       /
       /   ー‐ /⌒  ヽ        「ほな頼むわ。合鍵、なくしとらんよね?」
____/_____/ /_______
   (⌒ィXXXX(⌒ /             うん。出かけたとしても、散歩くらいだと思うけど……。
    /XXXXXX/´   フキフキ
     ̄ ̄ ̄ ̄

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やはりはやては、自分のことを欠片ほども異性として意識してはいないようだった。
それは油断というよりも、信頼の表れと思った方が良さそうだ。
優しく微笑む目に、「この子なら大丈夫」という思いが滲み出ているように
見えてならなかった。何を根拠にしているのかは分からなかったが、
それを言えば、自分だって根拠もなくはやてを信頼しきっている。
お互い様な事は、言ったところでしょうがない。

時折冗談めかして、風呂場に向かう際に「覗いちゃあかんでー」と言われたりするが、
当の本人はあっけらかんとしたものだ。こっちの気も知らないで。

とはいえ、欲情しようものならどうなるか分かったものではない。
自分の妙に強い理性に今は感謝していた。
自慰も最近はしていない。もしかしたら枯れ始めているかもしれない。
むしろそれが今の状況における最善かもしれないので、嘆くこともないが。
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3215 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 20:22:32 ID:NjlOvYzI0

                   , - ― -   .
                , '": : : : : : : : : : : : : : : : >、
           _ ,. '" : ,ィ: : : : : : : : : : : : : : : 、: : :、 ヽ
            /: ヾ、: : :/: : : : : ヽ: : : : ヽ '、 : : ', : : ヽ :ヽ
         /: : :/: , : i!' : : : : : : : ヽ: : : : :ヽ: ',: : :',.、: : ,'、: ',
         /: : :,': :_!iヽi!/ヽ:_:_:_:_:_イ三三三三ヽ_:_',ヾ/:/:',: '
        ,': : , イ ノ三三三三 ̄',:三三三三リヾ,、:!'/ ヾ,.!: i
        !/ , イ、三三三三:!: : :ヾ三三三イiニヾ,、 : : : !: i
      /---、' ,ィゞ三三三ソ ',: : : :/イ iっ::心!: : : !`ヽ:.!:.!: ',
     r ー-、 !' / ', 〃示ヾi! ',: : ,'   い;;;;;::i: : : i 、!.ii!!: !: :',       ほな、行ってきます!
     /  イ !ゝ'/ヾ ヽ',  ∨:∧. ',:.,'   ゞ斗'.':.i: :i'"/ヾ: :!: : ',
     !  し/ /: !: :ヽ:ヽ. 弋:ツ ヾ     ...,':/: /イ:.!: i!: ! : 、ヽ      「いってらっしゃい。待ってますお」
   _r/  イ.,- "',: ',: : : :`ヾ    `   ,  ./:/: ,': i!: !: i!: !: ! :ヾ、
 . /ヾ、\ /、   ヽ:!',: : i、: :'、   `ー‐   /:/: :,'、:i!: !: :!: :!: !: :'、      ……うん。お留守番、よろしうな。
 /.:.:.:.:.>、` /     ヽ: :i ヽ: >        , イイ: :/ /:!: !: :!: :i: :!: : :',
./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!      ',:.! ヽi: :!イ `r " , イ: /:i ./!>、: :!: :i: :!: : : ,
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スーツ姿に着替えたはやてを門扉の外、車で出発するところまで見送る。
今日は大分日差しが強く、軽く掛けておくには可愛らしいものの、
実際に目を隠すと似合わないサングラスをはやては手にしていた。

元気に手を振ってくるはやてに、手を振り返す。
こういう行為は家庭において一般的なことらしいが、
自分にはどうにも不慣れで、胸の奥から何かが溢れ出るような感覚に襲われた。

昔、こうして親に手を振ったことがあっただろうか。
軽くさかのぼり、あると確信する。父と母は油の匂いをさせながら帰ってきた。
それはやがて油の匂いではなく、仕事帰りの親の匂いと成り代わっていき、
その匂いを嗅ぐ度、「ああ、かえってきた」と実感させられていた。はずだ。

今では、油の匂いを嗅いだところで何も思わないが。
遠ざかっていく車体を見送りながら、しみじみと考えていた。
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3216 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 20:31:51 ID:NjlOvYzI0

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    /    / (ノ/)) ̄ヽ    \   \彡\ミ}  , ‐、 i
   __| .   | / / ̄   ヘ    )   |ゝ三ノ   i   iノー----‐
  (___/ /        `ー‐'′   ゝ======ゝ= '
     [二二二二]

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それからはもう、自分でもどうかと思うくらいに長閑なものだった。
庭の落ち葉や得体のしれない虫の死骸を竹箒で片づけ、、
屋内の掃除機がけや廊下の雑巾がけ、拭き掃除、
大体終わる頃にはお昼時といった具合である。

適当に炊飯器で炊いた米を濡れた手で掴み取り、三角形に握り、
味噌を塗ってフライパンで焼いたものを四つ程。
皿に盛って縁側まで持っていき、日差しと蝉の声を供に齧っていた。
じんわりと湿気と暑気が立ち込めてはいたが、シャツとズボンを目一杯捲って
過ごせば、耐えられなくもない。最初はやられたものだが、少し慣れた。
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3217 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 20:46:31 ID:NjlOvYzI0

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     /ノ  ヽ_\
    / (ー) (ー )\
  / ⌒ (__人__) ⌒ \
  |   /ζ⌒|     |
   \  ゝ .(⌒)     / ズズー
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   |  /   |        |

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掃除している時、不思議なものを見た。

「かまへんかまへん、見られたらあかんもんは前もって隠しとるよ」と
本人から許可されているとはいえ、掃除に入る時は緊張した。
いざ入ると、特に変わったものもない、普通の部屋だったが。
畳の上に箪笥や衣装棚、本棚に化粧台といったものが壁沿いに並べられ、
押し入れの向かい側にテレビがぽつんとあり、窓が一つあるだけだった。

彼女の個性が表れていたものとしては、本棚だろうか。
紙の本という珍しいものがぎっしりと詰められており、中身は色々だった。
旧時代の小説、詩集、コミック、とにかく色々だ。

なんとなく、その中でも大部分を占めていた『ドラゴンボール』というコミックには
興味をそそられたが、掃除を優先した。

はやての私室を掃除した後に玄関に向かうと、おかしな棚を見つけた。
今の今まで大して意識していなかったが、一人で落ち着いた時間の中、
意識の端っこに引っかかったのだ。

それは他の棚よりも意匠が凝っているような気がした。
中から不思議な匂いも漂ってくるし、ただならぬ雰囲気を感じ取り、
とりあえずは触らないでおいた。後ではやてに訊いてみるとしよう。
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3218 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 20:55:56 ID:NjlOvYzI0

     _____     ━┓
   / ―   \    ┏┛
 /ノ  ( ●)   \  ・     なぜか洗濯物は『私がやっておくから気にせんでええ』と言われたお。
.| ( ●)   ⌒)   |
.|   (__ノ ̄    /       まあ、考えがあるんだろうし、任せるかお。
.|             /
 \_    ⊂ヽ∩\       となると、この後暇だお……
   /´     (,_ \.\
.   |  /     \_ノ

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僅かな洗い物を片付け、やることを終えると、途端にどうすればいいか
分からなくなった。テレビを見たり、昼寝したりするのもいいかもしれない。
胃袋も満たされているし、布団を敷いて横になればすぐに睡魔がやってくるだろう。

ただ、それだけだと少し勿体ない気がした。
折角だし、引きこもってばかりいないで散歩してもいいかもしれない。
何よりも、ただだらけていると、暗い記憶が襲ってきそうで、怖かった。

はやてと二人でいる時は、意識が彼女に向けられているからまだいい。
一人でじっとしている時が、一番怖かった。

下↓1 暇だ……どこかに散歩しに行こう
1.近くに川があるとはやてが言っていた。見に行こう
2.少し歩いたところに商店街がある。見に行こう
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3219 名前:安価のやる夫だお[sage] 投稿日:2020/10/19(月) 20:59:37 ID:8aM1YZ460
1

3220 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 21:02:52 ID:NjlOvYzI0

     ___
   /ノ  ヽ、_ \
  /(●) (●.) \      そういや、近くに川があるって言ってたお……
/  (__人_,)    \
|  l^l^ln ⌒ ´        |    本物の川なんてそうそう見られるもんでもないお。
\ヽ   L         ,/
   ゝ  ノ             見に行ってみるかお。
 /   /

3221 名前:安価のやる夫だお[sage] 投稿日:2020/10/19(月) 21:02:55 ID:0pnRGi3g0
水かさを確認しないとな(フラグ)

3222 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 21:03:08 ID:NjlOvYzI0

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                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                         └──────┘


                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
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                           └───┘


                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

3223 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 21:13:29 ID:NjlOvYzI0

                           |
                      \           /
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  _,,.,..、。v-ー''"゙~ :: ' ::: : ::: :::    ::  :::: :: :::      「;;,,;;:yハiW
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さすがにこの日差しの中、そのまま出かけるのは日焼けが怖かった。
日焼けというものがどういうものかは知らないが、はやてから散々脅かされた。
曰く、日焼けしたら最後、それは時間の経過でしか治らない。
日焼けしている間は皮がべりべり剥がれ、お湯を被れば地獄の痛苦を味わう。
つまり、入浴やシャワーが拷問の時間と化すのだそうな。
更に言えば、後々の皺やしみの原因になるとかどうとか。

というわけで、ちゃっかり貰った日焼け止めを肌の露出している部分に塗りつけ、
しっかりと戸締りしてから出かけた。

話に聞いていた川は、少し歩けばそこにあった。
水の流れる音が聞こえてきたと思い、歩みを早めると、それは見えた。
草原を縦に引き裂くように流れる水流が、そこにあった。
底には涼やかな色の石が転がっており、陽の光を煌々と反射している。

溜め息を吐きながら川へと近づいていく。
軽く感動さえしていた。こんなに澄み渡った水がとめどなく大量に流れている。
飲み水に困ることなどなくなっていたが、こうも見える形で目の前に現れると、
感慨深いものがあった。
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3225 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 21:20:58 ID:NjlOvYzI0

      ____
     /     \
   / \   / \
  /  (●)  (●)  \     な、なんか跳ねたお……
  |     (__人__) u   |
  \  . |┬-r|    /     あれは……魚かお!? こんなところで、生きて泳いでるお……
   /   `ー´9mー )
          `ーー‐'゙

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
見つめていると、水面で飛沫が上がった。
よくよく見ると、それは魚のようだった。暗い色の魚が水面を跳び、
そしてまた飛沫を上げながら川へと戻っていった。

「オイオイなんだってんだ、タイムスリップしてきた人みたいなこと言ってよ」

驚嘆しながら腕を組んで観察していると、横から渋い声をかけられた。
初めて見る川に意識を取られ、全然気づいていなかった。
咄嗟に振り向くと、そこには変わった着物の中年男が立っていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3226 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 21:24:55 ID:NjlOvYzI0

              、_刈从WWWW从从≦二ィ_,_
              、_x≧W从从从WWi{从从从i从ア
                ィW洲从从}i州从ハ从从}Wkく :.
             、_j从WWW{i从{     , 、_  `}从 :.
             洲W从从リ{ィ=≦壬r示≧=代 :
             刈洲W{iレ'´ 込Z弐シ {Z弐近{ :.
              イ洲r=i{|        _ 冫    } :.
                 }从{ V|i 、_       ′   .' :.          よぉ兄ちゃん。独り言激しいなオイ。
                 从 {_  `     .ィこ>   ,'  :.
                }ト、_         `二   /   ::.          「すみません」
                    从汽     ,ィi斥仆v   :.:
                 洲 ` ー‐- {i」从」シ{   .:.           別に謝んなくてもいいよ……しっかし、そんなに珍しいか?
                ノ]}           |   .:
               /.::i」   、         j\_ : .           「まあ」
           _  -‐ {::::::::{、   、     / {ヽ::ヾヽ、
         _/    |::::::::| \   、   {  ハ::.:.:.. `丶、        ふうん。
    _  -‐ ´        |::::::::|  `ヽ、__     /  ',:.:.:.. i   ``丶、
  /            |::::::::|      `ヽ.  {_    ',:.:.:. i      ヽ、
 /                 |::::::::|       l |  ||!   }:.:.:.::!        \
./      \       |::::::::|       l |  |{    l::.:.:::l            ヽ
          ヽ      |::::::::|     /,ア ̄ ̄`ヽ l:.:::::::l       i   `、
           \   |::::::::|   //  />≦二;;}:::::::l        |    `、

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
咥えタバコの男は、ぼさぼさの黒髪と眉、蓄えられた顎髭、
そして厳めしいサングラスと怪しげな風貌だった。
旧時代に出てくるジャパニーズマフィアを意識したファッションなのだろうか。
靴にいたっては下駄だ。

その右手を見やると、長い棒が握られていた。何かの道具だろう。
グリップがあり、その上には筒状の機構が取り付けられている。
そこから細いワイヤーが棒の先まで伸びていた。

「これか? これ、竿」

「さお」

「釣り竿だよ、釣り竿。これはリールで、先っちょのがルアー」

「つり」

「おまえなあ……」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3227 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 21:32:51 ID:NjlOvYzI0

         ヽ 、________ ヽヽ. 、
       _,, ..≧::::::::::::::::::::::::::ヽV::ヽl
       ,.イ::;ィ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`=イ/
       //::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<
      〃::::::::::::;イ//リ|:/|:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
     ∠::::::::从(     l/ !::::::::::::::::::::::::::::::: ヾヽ
      /イ∧` 、,,ィ≦=rヽl/ル::::::::::::::::::::::::ヾ、
        〈_≧r=!:::::::ノ    リ:::/ヽ:::::::::::::lヽ       ていうか、なんかおまえ、その辺の兄ちゃんと毛色が違うな……
        !:::::/   ̄       lん) !::::::::::ル
        `l〈 _       ,..  ( ,.イ:::::::::::(         養成学校の生徒って感じでもねえしよ……
         ヽr__      /  l´ !::::::::从ヽ
    ___ ,....,..._ ト-`¨      ノ  ルリ人ヾヽ         まいっか。おまえも釣るか?
  r‐"_l_辷〕_}illi、   ,, -   ,,..::::"::::.. | __
  f,! └‐r‐‐/ / ^vllllllr''"  ,,...::''::::::::::::::::::::/´  /`!      「やってみたいですお」
  H__ノ__ノ__ノ /   r=`-''::::::::::::::::::::::::::::/  /   ヽ
 {   ∨   l    ヽ:::::::::::::::::::::::::::::/  / ,. "   \    おう、ここだとニジマスが釣れるからよ、釣って食おうぜ。
 l、   l   /    / l::::::::::::::::::::::/  / /
 /`'ー― /     / /:::::::::::::::::/  / /            釣りながら色々話せんだろ。
/     / / ̄/  /:::::::::::::/     /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
なんだろう。気のいい人なのだとは思うが、そこはかとなく感じられる、
このだらしなさというか、砕けた感じというか。
お高く留まっている連中からは嫌悪されそうな手合いだろう。
自分はそんなに嫌いではないが。こちらとてスラム上がりの落ちこぼれだ。

お言葉に甘えて釣り竿を握らせてもらう。
これを正しい姿勢で、そこそこの勢いをつけて川へと投げ、
ルアーを水面へと投入する。そして、リールを巻いて糸を戻す。
これをひたすら繰り返せば、たまに魚がかかる、そうだ。

半信半疑で言われた通りに竿を振りながら、魚もそんなに馬鹿なのだろうか、
と水中の魚たちに思いを馳せた。ルアーという釣り餌の模型も、
言ってしまえば色のついた鉄の板だ。

けど、糸が射出される時の軽快な音は、中々小気味よくて気に入った。
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3228 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 21:38:13 ID:NjlOvYzI0

 ノ_,、_ノノ,,孑 / ノ
彡从毛乂乍リソミヾ壬ミ
从彳川少匕从彳ミ川少<
毛仆卅从ミ从毛仆卅从彡
W从匕ミ弋幵W从匕弋乂
从乂lヽlミ\卅从乂lヽl\Wミ
从W毛彡厂''V'\ '    .∨
W从匕乂         ',        「おじ……あなたは? 普段何されてるんですかお?」
从卞弋V'      ',    , -',
災什人.        ', ii/少ミ}       おう、それ聞くかね。この俺に。
升入    `゙ー-=_ノ_,t壬昨ノ
ミミ______ _, -壬少ノ rx゙".rxl        「あっ……」
W    .`弋匕ミ少' { .', { .∨
/'     ` ̄´  _.', .',.', ',       昔は戦場に立ってたよ。コジマ技術導入試験型ノーマル部隊、サフィラスフォースってやつ。
∧        rx  .`', .',.', ',
. ∧.      r゙x X--‐'', .',l  ',      俺はそれだった。おかげで体中ボロボロでな、永遠の療養中ってわけ。
  `ー- ,_.   \\ \/', .',  lヽ
      `ー- .._ヽ ヽ `ー'   l ハ
          Y´ ヽ ヽ     l \





     ____
   /      \
  /  ─    ─\       奇遇ですお。
/    (●)  (●) \
|       (__人__)    |      「おまえもそのクチかぁ」
./     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |         でも、今は戦ってもいないし、守られる側にいますお。
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

3229 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 21:44:15 ID:NjlOvYzI0

                   、_,、_ ,、_,__,_
              _洲WW从W斥k
                刈州州从从込iト
              仆W^__、_ ,__V[,
                洲「{弐]刊卉」i{`
              {」i` ̄〈|` ̄ り      ..
                }l、  ‐_,‐' /{     ...:..
                 ∧\iWi{レ'{リ`   ....:..       だよなぁ、いいトコだよなぁ、ここ。
                 _/.::::',_r三く斗ヘ、...:...
           , -<:::::::::::::`r一^㍉,.:、.``丶、       俺も気に入ってるよ。子供をここで暮らさせてやれてるってだけで、
          /  ヽ:::::::::::::`マヽ、  ヽ、  `ヽ.
.          /      `、::::::::::::::∨.\_  `、   ',     すげー嬉しいしよ。他じゃあんな育て方できねえもん。
          /  \     `、::::::::::/.:::::::::}   ',    }
       /    ヽ    `、::::/.:::::::::/l    ト、  |     「……でしょうね」
        〈   、   、    ∨.:::::::::/ {    | V^廴
       }    、  }    /.:::::::::/ ∧  |  }  }     ああ。
      /    __\」    /.:::::::::/  { ∧  }  |   |
.     /  _/     ̄`¨¨¨¨¨`ヽ_|  ヽ/    }
     {                 {   l   /     ′
      ',                 L、 」_ {      ,′

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
川の流れる音を聞きながら、変わった風貌の中年男と一緒に釣りに興じるという
不思議な状況になっていたが、大して警戒心は抱いていなかった。

ここの人達が自分に危害を加えるようには思えない。理由がない。
鬱憤を晴らしたり、金や食料を奪ったりする必要もないだろう。
完全に無防備な状態を晒すつもりはないが、ある程度は安心していた。

本当に、おかしな場所だ。トウキョウでこんなことをしようものなら、
ごろつき共に素っ裸にされているところだろう。
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3230 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 21:47:27 ID:NjlOvYzI0

          ____
        /   ― \
.     /   (● )  ヘ\
     |   (⌒   (● ) |     ……散々戦争してきて、今更ですけど。
      ヘ     ̄`、__)  |
        ヽ           |     人を殺すのも怖いけど、殺した後も、凄く怖いですお。
      , へ、      _/
.      |          ^ヽ
.      |      1   |





                  、_,ヽ\汁|ヽヾ_,_,
                `久匕卅从W勹災七
                    乂从W仆幵卞从Wミ
                    YヾlVlN从マ大W从ダミ
                      ノ   ∨r 、卞卅从从       まぁなぁ。企業は美化してくれるし、幾ら殺しても責められやしねえ。
                r}-―==ヽ)}从オミ仆匕
                `l    |i/ 'W从卅冫       けど、実際戦場に立ってる身からすると、
                 ',       W从彡'
                  ',     ,  ,r'´ ̄         そこにいるのはただの人だし、終わった後はただの人殺しだしなぁ。
                   """"ヾ//´///
                          l/´//////        言葉で幾ら飾っても、やってることは、な。
                     /////////
                       //////////        ……お、かかってるぞ。巻け巻け。
                    {/////,r'´
                    ヘ//,r'´ ,r'´
                      )'´ ,r'´

3231 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 22:02:12 ID:NjlOvYzI0


         ヽ 、________ ヽヽ. 、
       _,, ..≧::::::::::::::::::::::::::ヽV::ヽl
       ,.イ::;ィ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`=イ/
       //::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<
      〃::::::::::::;イ//リ|:/|:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
     ∠::::::::从(     l/ !::::::::::::::::::::::::::::::: ヾヽ
      /イ∧` 、,,ィ≦=rヽl/ル::::::::::::::::::::::::ヾ、
        〈_≧r=!:::::::ノ    リ:::/ヽ:::::::::::::lヽ
        !:::::/   ̄       lん) !::::::::::ル       おー、四匹も釣れたのか。おまえセンスあるなぁ。
        `l〈 _       ,..  ( ,.イ:::::::::::(
         ヽr__      /  l´ !::::::::从ヽ       俺、昼まだでよ。あっちに洗い場あんだ、処理して塩焼きにしようぜ。
    ___ ,....,..._ ト-`¨      ノ  ルリ人ヾヽ
  r‐"_l_辷〕_}illi、   ,, -   ,,..::::"::::.. | __
  f,! └‐r‐‐/ / ^vllllllr''"  ,,...::''::::::::::::::::::::/´  /`!
  H__ノ__ノ__ノ /   r=`-''::::::::::::::::::::::::::::/  /   ヽ
 {   ∨   l    ヽ:::::::::::::::::::::::::::::/  / ,. "   \
 l、   l   /    / l::::::::::::::::::::::/  / /
 /`'ー― /     / /:::::::::::::::::/  / /
/     / / ̄/  /:::::::::::::/     /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
途中、男が「トイレトイレ」と席を外している間に、三匹立て続けにかかり、
釣り上げた。竿を引く力は予想以上に強く、暴れる魚を釣り上げた時は
不思議な達成感を感じた。

足元に置かれていた、水の溜められたバケツに放してやる。
素手で掴むとぬめりがあり、やや苦戦しながら口から針を抜く。
見るからに痛そうだが、魚は針を抜かれ水に入れられた途端、大人しくなった。

戻ってきた男はバケツの中を覗くと上機嫌そうに後ろを親指で指した。
近場にキャンプ場があるらしく、そこの洗い場を借りようという算段らしい。
七輪なるものもそこにあるそうだ。好奇心に任せるまま頷き、背中を追う。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3232 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 22:02:22 ID:NjlOvYzI0

        ____
       /    \       「じゃ、これでケツから刃を入れてな、洗いながら内臓引っこ抜くんだ」
.    /          \ 
.  /    ―   ー  \    あ、そうか……
  |    (●)  (●)  |
.  \    (__人__)  /     「そりゃそうだ。ハラワタごとは食えねえからな。ああ、その前におでこをぶっ刺して絞めるんだ」
.   ノ    ` ⌒´   \
 /´             ヽ





   o
    ゝ;:ヽ-‐―r;;,               。
,,_____冫;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:\      ,,,,,,,, o  /
"`ヽ;:;:;;;:::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:从    (;:;:;:;:ヾ-r
   〈;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:) 0  ソ;:;:;:;:;:;:;:}
  ,,__);:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノ     ゞイ"ヾ,:;:,ソ
  (;:;:ノr-´^~;;r-ー⌒`    ,.、
  "  ,,,,      _;:;:⌒ゝソ;:/
    (;:;:丿    (;:;:;:;:;:;:;:;:;:)
            ヾ;;;;;;;;;;;;/; \
            ´  /;:ノ 。  。
                ()

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
人気のない石造りの洗い場で蛇口をひねり、バケツを載せる。
男から小さな折り畳みナイフを受け取り、小指程度の大きさの刀身を
魚の細く、けれどしっかりと肉の詰まった頭へと当てた。

白くなっている部分がお腹で、ここを裂けば内臓が出てくる。
それを取り除き、水で血を洗い流して、それから焼いて食べるのだそうだ。

淡々と説明する男を他所に、考えるべきではないことをふと考えた。
人間と同じだな。それもそうだ。魚も人間も動物だ。
瞼の裏で、マーシフルの掌の上で絶命した兵士の姿が蘇り、
目の前のぐったりと脱力した魚と重なった。

視界が揺れる。足から力が抜け、そのままへたり込んでしまった。
男が隣で心配そうな声を上げるが、上手く聞き取れない。

結局、なんとか持ち直すまでに、男がさっさと下処理を済ませてしまっていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3233 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 22:09:55 ID:NjlOvYzI0

            }i|ハi从}i{{l|W从川{ {从i|{  i !        {_
            V   }ハハ{V   Vハ{{i{ハ :{i|!       {{`′
               }            |W从小j!i !i|  ,  、_≧ァ
             ム              |/}イ小j}}_} }!}W¦ 「广
            」__\、    _  -‐    |/}/从从从i{ハ {
           { f≧メ}、_,)≦二 __         |/ムi7'⌒V小!|W
           ‘斥沙′`} ]三三ミF¬==≠f/   }仆{ハ!
            { /  ‘弐三三ヲ      }小/  从}Ⅵド
             ∨     ` ̄´       l/ノ__//从Wバ     普段は魚の切り身ばっか食ってる奴らが大半だがな、
             }〉--、              _ イ/}|V/
         :       く_、__            /  厂´}i||V|ト|{        一から釣って食うには殺さなきゃならねえ。
         :      /∠}厶_       /   /  |ハ|」{i  
        :   // }>r‐ `        _/    |从{了        ハラワタ抜いて、血を抜いて。誰かがそうしてる。
         :. //    }i|l}ト、_    _  -‐          / {_
        `゙´       ゙ー≠≧=≠             /   {ヘ._       手ぇ汚さずにいられるのは、誰かが手ぇ汚してくれてるからだ。
              _/    l           /      ,′ \_
             ´ ハ      |        /       /     }\    ……そうだろ? じゃねえと、報われねえだろ。俺たち
             /   { ‘.    」     /       /    ,′
.         /       !  }i  /     ハ      , '      /
        /      |/∧/      {  ヽ.     /     /   パチパチ
          /      / / {\    _」    \/       / /





   / ̄ ̄ ̄\
 /        \    
/    ─   ─ ヽ
|    (●)  (●) |    ……。
\  ∩(__人/777/
/  (丶_//// \

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
借りてきた七輪を草むらのなるべく平らなところに置き、
下処理を済ませたニジマスたちに塩を塗りつけ、鉄串を口から差し込む。

七輪の中の炭に着火すると、男は網を被せ、そこに魚を並べた。
やがて魚から滲み出た脂が火へと零れて弾ける音が聞こえてくる。
さっきまで生臭いばかりだった魚から香ばしい匂いがしてきた。

男の話には、否定も肯定もできなかった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3234 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 22:16:24 ID:NjlOvYzI0

              、_刈从WWWW从从≦二ィ_,_
              、_x≧W从从从WWi{从从从i从ア
                ィW洲从从}i州从ハ从从}Wkく :.
             、_j从WWW{i从{     , 、_  `}从 :.
             洲W从从リ{ィ=≦壬r示≧=代 :
             刈洲W{iレ'´ 込Z弐シ {Z弐近{ :.       え、おまえはやてちゃんと暮らしてるの?
              イ洲r=i{|        _ 冫    } :.
                 }从{ V|i 、_       ′   .' :.       いやー知ってるも何も、桜花の看板娘だからなあ。
                 从 {_  `     .ィこ>   ,'  :.
                }ト、_         `二   /   ::.       となると、大変だろ。あの娘、ほら、魔性の女ってやつだから。
                    从汽     ,ィi斥仆v   :.:
                 洲 ` ー‐- {i」从」シ{   .:.        今まで何人勘違いして玉砕したことか。罪作りだねーほんと。
                ノ]}           |   .:
               /.::i」   、         j\_ : .         あれ、天然だから。
           _  -‐ {::::::::{、   、     / {ヽ::ヾヽ、
         _/    |::::::::| \   、   {  ハ::.:.:.. `丶、      なんだよ、気になんのかよ?
    _  -‐ ´        |::::::::|  `ヽ、__     /  ',:.:.:.. i   ``丶、
  /            |::::::::|      `ヽ.  {_    ',:.:.:. i      ヽ、
 /                 |::::::::|       l |  ||!   }:.:.:.::!        \
./      \       |::::::::|       l |  |{    l::.:.:::l            ヽ
          ヽ      |::::::::|     /,ア ̄ ̄`ヽ l:.:::::::l       i   `、
           \   |::::::::|   //  />≦二;;}:::::::l        |    `、





     ____
   /      \
  /  ─    ─\
/ u.  (●)  (●) \     え? あー、その……
|   /// (__人__)    | 
./     ∩ノ ⊃  /      「おうおうおうご馳走さん、青春だねえまったく」
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

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話題を変えようとはやての話をすると、男はすぐに食いついてきた。
やはり桜花重工の旗頭たるはやてのことは知っているらしく、
色んなエピソードを語ってくれた。

というのも、既に近隣の子供たちから青年に至るまで、
彼女に恋心を抱いては玉砕した人々が結構いるらしいのだ。
明日は我が身である。

彼女は実際は身持ちが硬いが、表面上の無防備さや揺るさに引き寄せられ、
突撃を仕掛ける男たちが一時期絶えなかったそうだ。

当人は不思議がるばかりだったそうだが、同じ男としては同情を禁じえない。
あれは、勘違いする。彼女が思っている以上に男心とは単純なのだ。
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3236 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 22:33:10 ID:NjlOvYzI0

                   、_,、_ ,、_,__,_
              _洲WW从W斥k
                刈州州从从込iト
              仆W^__、_ ,__V[,
                洲「{弐]刊卉」i{`
              {」i` ̄〈|` ̄ り      ..
                }l、  ‐_,‐' /{     ...:..
                 ∧\iWi{レ'{リ`   ....:..     ようし、嫌なこと思い出させちまった詫びだ。
                 _/.::::',_r三く斗ヘ、...:...
           , -<:::::::::::::`r一^㍉,.:、.``丶、      良いこと教えてやるよ。明日の午後五時からな、近くの神社で夏祭りがあんだ。
          /  ヽ:::::::::::::`マヽ、  ヽ、  `ヽ.
.          /      `、::::::::::::::∨.\_  `、   ',    「なつまつり?」
          /  \     `、::::::::::/.:::::::::}   ',    }   
       /    ヽ    `、::::/.:::::::::/l    ト、  |     おう、昔のイベントだよ。後で調べとけ。そこにはやてちゃんを誘ってみろ。
        〈   、   、    ∨.:::::::::/ {    | V^廴
       }    、  }    /.:::::::::/ ∧  |  }  }     俺の経験から言わせれば……あの娘は、押しに弱いタイプだ。
      /    __\」    /.:::::::::/  { ∧  }  |   |
.     /  _/     ̄`¨¨¨¨¨`ヽ_|  ヽ/    }
     {                 {   l   /     ′






       /  ̄ ̄ \
      /ノ  ヽ__   \
    /(―)  (― )   \     そんな無責任な……
    |.  (_人_)   u |
   \   `⌒ ´     ,/      「男にはな、守るべき時と攻めるべき時があんだよ。大丈夫だって。
     /         ヽ
.    / l   ,/  /   i       あの娘なら振った後言いふらしたりもしねえって」
    (_)   (__ ノ     l
    /  /   ___ ,ノ        えー……やる夫、一緒に暮らしてるんですお? 気まずくなりますって。
    !、___!、_____つ

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後で調べたのだが、夏祭りとは旧時代の日本において田舎町で行われた、
飾り付けた神社の境内や商店街などで行われるお祭りだそうだ。
出店がたくさん並び、浴衣という着物を着こんだ人々が闊歩し、
とにかく楽しいイベント、らしい。

男の言っていることはともかく、その夏祭りというものには行ってみたい。
帰ったらはやてに話してみるとしよう。告白とかどうとかは別として。

それはおいておくとして、ぱりっと焼けた魚はとても美味しかった。
塩と魚の脂が良い味を出していた。身も新鮮なだけあって弾けるようだ。
さっきまで生きていたものに対し、謝罪の言葉を抱くのは違和感を感じた。
なのはの言葉が蘇る。後悔するくらいなら最初から殺すな、と。

串を両手で摘まんで魚に齧りつき、考えることを中断する。
とりあえず、残さず食べよう。肉の一片まで、食べられる部分は、全部。
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3237 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 22:33:35 ID:NjlOvYzI0

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3238 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/19(月) 22:37:23 ID:NjlOvYzI0

       , -‐   ‐- 、
     /: : : : : : : : : : ::',
    , ': : : : : : : : : : : : : : :',
  /: : : : : : : : : : : : : : :○:',
  ヽ : : : : : : ○: : : : : : : : :',         今回はここまでだ。皆も攻め時とそうでない時を見極めなければ痛い目を見るぞ。
 .  `ト : : : : : : : : : : : _,-‐'`iヽ _
    i: 丶: : : : : :,-‐'´__,-‐'´: : : `ヽ      基本的に、二度と会うことがないような人、今後大して関わらない人には攻めていい。
    | : : :ト: : : : `-‐´ : : : : : : 、: : : 丶
    | : : :'、j`-‐ : : : : : : : : : : : \: : : ヽ   逆に身内だったり、学校や職場内では守りの一手だ。女は言いふらすからねえ……
    丶,,:_:_:_: : : : : : : : : : : : : : : : | : : : i
          `ヽ: : : : : : : : : : : : `ー‐'    他校や職場外でするといい。職場恋愛はお勧めしないね。怖くない?
             ヽ: : : : : : : : : : : : : ヽ





                           _ ______
                      ´.: : : : : : : : : : :`
                       l: : : : : : : : : : : : :i
                    i: : :○ : : : ○: :.|
                        |: : : : : : : : : : : |      次回は来週の月曜日、10/26の午後八時からとしよう。
                     j: : : -===- : :.i
               r―--┐     i: : : : : : : : : : : :l       それじゃ、シーユーアゲイン。
              i: : : : : ',      ゝ : : : : : : : : :t´
                ',: : : : : i  , f: : : : : : : : : : : : : :ヽ       夏祭り回……エロゲらしくなってきたじゃあないか。オラワクワクすっぞ。
                \: : : :y: : : :Υ: : : : : : : : : : :y: : '..,
                ',_: :: :/  i: : : : : : : : : : : :l丶 : : :ヽ
                     ̄   l: : : : : : : : : : : .i  \ : : :丶

-◆x0SRSoJXe.

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