◆x0SRSoJXe.

【安価】やる夫は誰かのために戦うようです 84

3248 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 20:06:04 ID:eewyaVm60

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: |:|: : `ヾ_- .,         ,   .: : : ト 、            「お帰りなさい、はやてさん」
: |:|: : ∨: 〉く: 、     __ .,  .ィヘ:_:_、`ヽ
::介∧ ∨{  Y: >、    ̄ <: :{ ゝ_ィ^ヽ.            お、ええ子にしとった?
:{ .l: :∧ ∨:\): }ヾ:、/ ̄_Y二ニrf´` `  、
:| .|:∧ \{~ ‐}:l:!  >‐ミ {_|_ {ノ^ヽ     、__         「……多分」
ゝ/ ∧     |ハ./三三∨ ̄ `ヽ. ハ    〉:::::Y
_/ / ∧    / }!ゞ三三≧--=ニニニ{ト-::イ:::::::::!        そか、ならええわ。
.   /  \. /  .!::::::>:..寸二〉::::>:::::`ヽ:::::::::::::::|
,-=ミ    .У_.」::::::::::::::::><::::::\:::Y::::::::;::::::;ノ{         「あ、お風呂沸かしておいたお」
   `ヽ  {   .|:::::::-<::::::::}::::>::Ⅵ:::::::::::Y:::::::l、
       l!    !::::::{:::::::::::::└::―:-Y::o::::::::}::::::::|::\       おお、それは嬉しいなぁ。おおきに。
       l!   ム::∧::::::::::::::::::::::::::::`::、::::::|:::_:::_::_:::::
       l! イ::::::::::::::\::_:_::::::::::::::,::-::‐'::´:::::::::::::::ト、

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河川敷で元ノーマル乗りだったという男と魚釣りに興じ、
日が暮れてきたからと家に帰ってテレビを見ていると、端末が震えた。
もう少しで帰れるという、はやてからの連絡だった。

彼女の名前が画面に出た時、安堵を覚えるのはなぜだろう。
ただ、少しずつ、自分の中の当たり前が書き換わりつつあるように感じていた。
おかしな状況には変わりないが、それが普通になってきている。
この短い時間の中で、このジオラマのような世界で、はやてと暮らしている。
それが普通であり、自分にとってその象徴たるものがはやてなのかもしれない。

車の音が聞こえる度に、はやてだろうか、とそわそわしていると、
ついに鍵が回される音がした。椅子からすっくと立ちあがり、玄関まで出迎えに行く。

仕事帰りの彼女は特別くたびれた様子もなく、けれど目つきや語気の端々から
若干の疲労を滲ませていた。出迎えに来た自分を見ると目を細め、
声を弾ませる。

夕飯の用意は荷が勝ちすぎるので、せめて風呂だけでも、と用意しておいたのだが、
はやてはそれを聞くと極々小さくではあるが歓声を上げてくれた。
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3249 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 20:11:30 ID:eewyaVm60

     ____
   /      \
  /  ─    ─\
/    (●)  (●) \      夏祭り……ううむ、やる夫が誘ったところで、はやてさん困らないかな。
|   u.   (__人__)    |
./     ∩ノ ⊃  /       いや、はやてさんだったら、本当に困るならちゃんと断ってくれそうだお。
(  \ / _ノ |  | 
.\ “  /__|  |         言うだけ言ってみるかお。
  \ /___ /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
はやてが先に風呂へ入っている間に、どう誘ったものか、
そもそも誘っていいものかとリビングの椅子の上で悶々と考えていた。

夏祭りというものに興味がある、というのも本音だ。
ただ、自分一人で行こう、という気持ちがなぜか湧かなかった。
はやてを誘って、はやてと一緒に行く、断られたら行かない、という大前提が、
いつの間にか自分の中で作られており、それに違和感も感じなかった。

テレビの古めかしい四角の画面に歌劇の舞台が映っている。
といっても、ミュージカルはミュージカルでもコメディらしいが。
観客たちの沸く声が聞こえてくるが、考えに夢中で内容が入ってこなかった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3250 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 20:18:39 ID:eewyaVm60

                      . . ''"゚~.:/⌒\ ‐-ミ
                    /⌒\//.: .: .:.:⌒\.: .: .:.\.: : \
                /.: .: .: .: r∧.: .: .: .: .: .: \: .: .: \.: .: :.
                 /.: .: .: .: .:|/:∧.: .: .: .:.:.:.|.: :/〉:_/∧: : ハ
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             | :|.: .:|.: :|.: : ィう㍉ 八.:| :/ ノ(_,,狄 ',: : |: .: |
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      \       /:\ .\.: 八⌒ 、   , _彡ク/|.: .:|.: .: :|
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 |     )/    /人:(/ニニニニ\.  \_〉 / 八 ∧___/\. .: 八
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色々と悩んだり考えたり、落ち込んだりもした。
けれど、はやてと一緒に居ると、不思議と張り詰めた表情が綻ぶのが
自分でもわかった。

彼女が笑っていたり喜んでいたりすると、胸の内で堅く結ばれたものが解かれ
暖かい気持ちになれた。自分がどんな人間か、ここに来るまでに何をしてきたのか、
忘れてしまったわけではない。そうではないのに、暖かいものがこみ上げてくる。

罪悪感や後悔なんてものではない。怖かった。
自分の行いが、自分の行く末が怖くて仕方なかった。果てのない恐怖だった。
元に戻すこともできず、償いなんてできるはずもないことを抱えて、
不安と恐怖でどうにかなりそうだったのに。

ここではやてとこうしていると、それらは優しい平穏という仕切りの向こうへと
追いやられ、目の前に広がるのは、彼女との日々だけとなる。
そしてそれを享受し、何も知らない子供のように眠る。
素敵な夢でも見ているかのように。

そして、こうも思うのだ。これが夢なら覚めてほしくない、と。
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3251 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 20:23:17 ID:eewyaVm60

               ____
             /      \
           / ─    ─ \
          /   (●)  (●)  \
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      ( ( \    )⌒´  。 ,/
           _ n  ー‐      \
        /-(ミ>二==____とー、ヽ
        i /ヽミ/   .∨////// i |
        i/  |     ヽ、__ノ   ヽ|
        .〈   |      ゝ_,,へ ノ

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風呂上がりのはやてと一緒に夕飯の用意をし、テレビを見ながらいただいた。
今日は中華風で、あまり辛くない麻婆豆腐と餃子、ワカメのスープだった。
二人とも辛いものや苦いものは不得手だということで、
当然の如く辛みがかなり抑えられた麻婆豆腐と相成った。

主な行程ははやてが担当しているが、食器を出したりといった簡単なことは
自分も手伝うというのが、二人の食事の用意となっていた。
最初こそいたく感激されたが、段々と喜ばれ方も穏やかになっていき、
今日にいたっては「ん」と優しく目を細めるだけに留まるようになったが、
それはそれで感慨深いものがある。

自分が誰かにとっての日常の一部になっているのだ、というのは、
存外に嬉しいものだ。
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3252 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 20:26:17 ID:eewyaVm60

     ___
   /   ヽ、_ \
  /(● ) (● ) \        あの、はやてさん。
/:::⌒(__人__)⌒::::: \
|  l^l^lnー'´       |       「んー?」
\ヽ   L        /
   ゝ  ノ               えっと、その……
 /   /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
洗い物を済ませて食器を片し、冷蔵庫の中を物色するはやてへと向き直る。
「たまには別のにしよかなぁ」とぼやきながら、いつもと変わらぬ銘柄の
缶ビールを鷲掴みにしていた。確か、あれはオルデンブルクグループの
ドイツ系飲料メーカーが手がけているビールだったはずだ。

食糧分野においては、IGIOグループがトップシェアを誇り、
次点でオルデンブルクグループ、その次にアヴィアコルグループ、
最後にSIグループとなっている。オルデンブルクグループのそのメーカーは
結構人気らしいが、飲めない自分からすればよく分からなかった。

小気味いい開封音を鳴らしながら鼻歌を歌うはやてに呼びかけ、
夏祭りについて聞いてみた。最初から誘ったりできなかったのは、
ひとえに勇気の不足だ。
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3253 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 20:26:40 ID:eewyaVm60

                        -‐…‐-
                  _.、-''" .: .: .: .: .: .: .: .: .`丶、
                    /⌒: .:/.: .: .: .: .: .: .: .: .: .:\.:\
              //⌒ヽ(.: .: .:.:\.: .: .: .: .:.\.: .:\.:\
                 /.:/.: .: : /∨\.: .: .:.:\ .: .: :\.:\.: .:\:.ヽ
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             /.: .:.|.:.: .: .:| :|   |.:.:.|.:.:./ ̄ ̄\ :| .: 〈∨〉 : :.
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        /⌒7.: : |.: :|.: .:\.: .:.:ヽ乂少 j/   ∨'少'.: .:/,ノ.: .: .: :|
          |: .:八.: .: .:\:\.:〈⌒, ,  、    , , 厶イ.: .: .: .: .: :|       私もここに住み始めたんが十七から……
          | /  \(\: \:::込     _       イ.:.:.: .: .: .: /.: |
          |:    \⌒\ .: 个        //.: .:/.: .: .: /.: : |        ちうても、たまにしか帰らへんかったから、
            /.: .:./r<\.: .: .\:>-<  / ̄/ .: /.:./、.: .:.|
            /:r<__||"^\\.: .: .\___/∧///.:.//\:|         行く機会もたまにしかあらへんかったんやけどな。
            / : /⌒\八   \\.: .:| \_/〈∧\.:.:// / ̄ ̄|
        ⌒7 :〈      ∨ ̄ ̄ ̄ ̄|.: |〉 /⌒\ |:::::V/./     ∧       せやけど、何度か行ったことあるで。
          {.: 八    / /    .八∧∧:i:i:i:i:|\:::::: 〈     /⌒\
         /    r<      /:::::::::〈 \:i:i|  |\::::〉      \\ |      楽しいで? 出店のご飯も美味しいし、
        /     /____/::::::::::/ :\ |⌒ヽ |::::::\~"''~、、 \\
.       /  _.、-''":::::::::::::\::::/____/::::::::::::|:|:i:i:i:i|:::::::::::: ̄|:::::\:\ \\     色々遊べるし。
      _.、-''" /:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::/::::\::::::\:i:i:i:|:::::::::::::::::厂〕:::::Y: \__|. \
     /    ./:::::::::::::::::::::::::::::}:/: /:::::::::::::::::::::::::::〈⌒〕:::::::::::/ ̄:::::::::}::::::| \  \
    /      ノ:::::::::::::::::::::::::::::::/::::::``~、、 :::::::::::::::\|:::::::::/::::::::::::::::八::: \ \  \
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「行きたいん?」

はやては何かを察したかのように、穏やかな声音で聞いてきた。
頷いて返し、明日の夕方から始まるらしいと伝えると、
彼女は端末の画面に指を滑らせはじめた。予定を確認しているのだろうか。

ここで「ええやん、行っておいで」と言われたらどうしようかと思ったが、
その心配は杞憂に終わった。彼女も行きたかったのだろうか?
それとも、単に面倒見の良さの発露なのだろうか。少し、気になる。
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3254 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 20:44:52 ID:eewyaVm60

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             /      \
           /   ⌒   ⌒\       「――ここで速報をお知らせします」
          /   ( ●) ( ●)ヽ
            l   ::::::::: (__人__) :::::::|      お……
          \     ` ⌒´   /
          /             ヽ





               _____
          /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:――
       __,.∠:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.⌒\:.:.:.:\
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  |:.:|:.:.:|:.:|:|:.:.:|:.:.:.:{ )いハ 从:.:.:.:.| )いハ Y:.:.: ノ:.:.:.:.: |       ん、どないしたん?
  |:.:|:.:.:|:.:|ヘ:.人:.:.: 乂;;ツ   \:.| 乂;;ツ 从:.Λ:.:. /:.|
  |八:.:.|:人:|:.\\ト''        '''  /:.:.:/ }:.:.:.:.:.|
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       八:.:.:.:.:.个   `       イ:.:.:.:| :.:.:.:. |:.|
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ただ、こういうのはちゃんと、言葉にして誘ったほうがいいと思い、
気の利いたセリフを考えていると、テレビがニュース番組へと切り替わった。
アーカイブからの過去の番組の配信ではなく、リアルタイムでのニュースだ。

といっても、何か凄い情報が流れるということはあまりない。
世界情勢の解説、ブライドルの様子、自社の主張、それくらいだ。
要は、気にしてもどうしようもないことばかりということである。
それに不満を覚えるような層は、そもそもテレビなど見られていないだろう。

その映像の中に、速報としてコーカソイド系の男性アナウンサーと、
下にテロップが流れていた。コロニー・アマツ周辺でネクスト機による
戦闘が発生した、とのことだった。コジマ汚染の影響や被害の有無などを
淡々と説明している。
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3255 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 20:52:44 ID:eewyaVm60

                                          /::::::::::∧/
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                   ∨ ∧ ` <_   |___  l    __,.、/:::,.、 ヽ::/ -‐   ̄    _)Y辷ーJ
                    /∨//勺  ̄  「  ヽL rくニ〃/''´ ..,;;;:::∧ jI_ ニ=‐''" ̄⌒ー'’
                 〈/∨//∧ \  |   l llメ~  /..:、''´..:'::>'’
          _         ∨// ,イ 、\|   l l|.、  / .....::::::::::∧
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.           \\       ,:イ ィ㌻ ィ |!_//<ー'’ ///:::::::::::::::::ム
    _____\\_,  `~ rノ-=ュ/ V /  ./〈/:::::::::::> ´
    [_____  ̄ ̄ l|∨ーrヘ、_/ }  У     //:::::::> ´                  __
    \ヽヽヽヽィト-----|! l_|   マ/´|/)入__rくミュソ´━‐-  _        _.、<   l|
       ̄ ̄ ̄\l√ ̄l゙゙~ ノーゝ、_/<  {乂r刈j         ‐  _.、<    _>'´
              |! _,ィlリ< ̄ ̄     .> ´ /'/ 》         _.、<       /
           Yοノr'´     > ´/  ./'/ 》             ``''-  _     /- _
          >'^¨~    > ´ヘjィ/「   /'/ 》                  `¨¨~   -_
        <____> ´  /  |l  \, Ⅵ》 -  _                    ヽ
            ,.+'´ ,′ />ミⅣ  / `~|r=二ニ=‐- ―┯━‐-  _    __ _ 、<
           ,.+'’   l  ,' ,  ,' Ⅳ/|     八  ',         ー――=ミ、  ̄ ̄
           /      l /`ー、乂 Ⅵ!   /  \ \      ,ィチミ_、  ∨ /
         L」__    / _/  _ Ⅴ./弋   イ\ >    l{  (__}|!  ∨ __
           ̄    \  (辷__,> ´    \_/   ゞ、    ゝ.、__ノ γ⌒ヽ ゝ、
                  \!   !                   `'<_       {   《   ヽ
               l   /                        ‐  _弋_ノ~''<_」
                   l /                              `{   ̄``¬、
                  ∨                           \      li
                                               \    l|
                                               \  l|
                                                `㍉j

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説明が終わると、ドローンによって撮影されたというVTR再生が始まった。
その映像を見た時、目を見張った。見覚えのある機体が二機、
空中戦を繰り広げている様を遠目に撮影している光景だった。

片方はカズキのリベリオンだ、間違いない。漆黒のオルデンブルクフレーム、
スタビライザーの位置、大型ブレードといえば彼の機体だ。

そしてもう片方は、自分の最後の僚機でもあった、カタストロフィだった。
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3256 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 21:00:20 ID:eewyaVm60

      ___
     /::::::::::::::: \
    /::::::::::::::::::::::::::::\     なんでも、ありませんお。
  /::::::::::::::::::::::::::::::   \
. |:::::::::::::::::::::::::::(ー) .  |    お風呂入ってきますお。
  \    (__人__) .  /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
アナウンサーによれば、リベリオンがオルデンブルク輸送艦隊の
護衛任務に就いていたらしく、それをカタストロフィが襲撃した、とのことだった。

結果、リベリオンがカタストロフィを中破しつつも撃退。
カタストロフィは撤退し、リベリオンもアマツ周辺領域を脱出。
つまるところ、二人とも生き残ったらしい。

それを聞き、夏祭りだなんだと浮かれていた気持ちが途端に沈んでいった。
話題を切り、席を立つ。
途中で口を噤んで一緒に観ていたはやては困惑した様子でこちらを見つめるが、
取り繕う余裕もなかった。

少なくとも、目を逸らし続けていた現実を垣間見て尚、
彼女を夏祭りに誘えるほど、自分は居直れていなかったのだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3257 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 21:00:40 ID:eewyaVm60
                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘


                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
                           │::::::::::::::::│
                           └───┘


                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

3258 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 21:07:34 ID:eewyaVm60


              -‐━━=ミ
          /⌒:^.: : : : : : : : : ::>
       _.-=ミ: : : : \: : : : : : : : :V: `.
       .ィ: : : : 7:〉 :∧: : :V: : : : : : :〈/: /〉:.
     /: : : : : :|/ | : :|:V: : :i : :| : : : : V〉: : ハ
.    /: : : : : : :|i !::斗-V: :|ー|‐|:-|: ::|:|i: : : |i
    ′l: : |i :|i |i_,.ィテテミ : : |N|ィテミN: |:|i: : : |i
   { |:::|i :|i |i  r勿, |:N  r勿ノ !::|:|5!: : : .
.      从::|i: |i |i: ^¨¨  i      」::|:|,ノ: ;小:.        ……大丈夫なん、ちうのもおかしな話やな。大丈夫ちゃうか。
.      〕: :|i |N」    ,  、  .: /|:| : /: : :|i
        |i ||:|:i>       .ィ :/::」:/〈: : : 八        これからは、ニュースは映さんようにしよか。
        |i ||:|:|///〕ニ=-   | l: : :/  V⌒V:\
        |i7⌒V| V寸ニニ才 !: /   \_,V⌒ :、     
.       _ --厶ヘ V  V /⌒丶 | {    -=ミ,V{  ,ハ
     〈,   /     V V^V__/^V |/ /    \ /
    /∧ /     }.  }i / Vi{  」 /  ______ /   __
.    {  V      ,リ,  }i   i{  }i,  /    |ー━=ミ」
    r」  ⌒ー‐―( ̄ ̄〉ム  /|  i|/    |    _.」L
    |⌒ー}     /    \ V   /  \   _|  ー=ミ__ )
    |   ノ    ,/       \ ./   f/―‐┐___   } \
   ∧__(___  _/        \   /  ̄ ̄〉 乙...
    /   /八       _ji斗~'へ  ̄ ̄|   」(
 /  /   / ̄,.. .-‐ '''""~         .V  rノ.   \

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風呂から上がり、居間へと戻ると、はやてはさっきのままの状態で座っていた。
ビールに口を付けた様子もなく、素面だった。
冷え切っていたであろう缶ビールは結露すらなくなり、温くなっていそうだ。

椅子を引いてこちらへと体の向きを変えると、はやては手を膝に置き、
眉尻を下げて気遣いの言葉を口にした。

思わず頭を振り、そのままうつむく。
違うのだ。気を遣わせたかったわけではないのだ。
ただ、あの場で、気にしないということができず、どうすればいいかもわからず、
逃げるように去っただけで。
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3259 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 21:12:34 ID:eewyaVm60

             , - ー― -   ..
      ,  '": : : : : : : : : : : : : : : : : :> ..
     , ': : :、: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :≧ 、
  ,. ' : : : : : ヾ,ィ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
 ,.': : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ: : : : 、 ヽ、
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' : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 、: : : : :'、: ヽ:.',ヾ、
: : : : : : /: : : : : : : : ,: : : ', : : : : : : : : : : : : ヽ.: : : : ', : ',:.!
: : : : : :,': : : : : : : : /ミ彡ヽ: : : : : : : : : : : : : :',: : : ,ィ',、 ',:!
: : : : : :i: : !: : : : : :i!    ',:',: : : :、 : : ', : : : : ',://!:',: !
: : : : :, i: : !: : : : : :i   _ ,:i、: : : :!,: : :',: : !,: : ',イイ.ノ:/リ
: : :!: :i: ! : i: : : : :', ', ´   リ ヽ: : :!',: : i:.!: !',: : :!,イ: i i!
: : :! : i: ',: :i: !: : : :ヾ、    -―-'、: ! ': : !リリ !: : !.!: : i
: : :!: : !: !,: !:!ヽ: : : !,,ィ示千キ''ヾ ヾ ',: !==''!:/! i: :,'i!          今は無理かもしれへん。
: : :!: : ! i ヽ',). ', : : ',`<Z汐     i i/   !'ヾ',!/ i!
: : :',: : ', ヽ、`- ヽ: : ',             ヽ   .,: : :ヽ、           けど、いつかは気にせんでようなるかもしれへん。
:.i!: :',: : ',: : : ヽ_ノ、ヾ'、              ,.イ: : : ',、ヽ
:.!i: : ',: : '、: : : :! ヽ:` 、       -=='  , イ!,、ヽ., -- 、',          忘れるのは、無理やと思うけど。
:i !', : '、: : ヽ: : ヽ '、: ヽ',>   __ .イ : !i:!ゝイニ ̄ .'、
:i i:.'、: : 〉、 : ',、: : \ ',: :',ヾ /、`ー-,  ̄ ̄r‐'‐'     ',         だから、これからは静かに……
',',',: i'、/, ヾ: ', `ヾ、ヽ!:i:i`ヾ''!_ヽ  i!i    ヽノ丶       ',
ヾヾ./ ヾ、 ヾ、   `i:iリ  /;;;;;;ヽ. ゞ==---、   ヽ.     ',ヽ、__      「やる夫は」
  /   ヾ、       リ,i! /;;;;;;;;;;;;;ヽ 、   ヾ、.  ゝ、  ノイ/::!
_/   / ヾ、   // !i、`ー--〈;;;`ヽ、ー――--}`ー―‐''"::::::::}
. /   /    ヾ,、. // i !:::`ヽ、 ヽ;;;;;;;;;;;ヽ::::::ヽ:::::\::::::::::::::::::::::::i!
/   /     ヽ_/ , i !、:::::::::::>ヽ;;;/:: ̄ヽ/..、::::::::\::::::::::::::::::ノ、
イ  ̄ `ヽ、   ,ィ , イ  !'、:::::::::::::,::-、>、:::::ヽ::::`i::::::::::ヽ--ー"イi
      `ヽ  i !     i:',:ゝ''":::::::::::::',:::::::`ヽヽ:::i:::::::::::::::',: ̄:::イ!
          i !     !::'、:::::::::::::::::::::ゝ-----ゝ'::::::::::::::::i::::::::::::::ヽ、
         i i !    /:::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',゚:::::::::::::i!:::::::::::::::::::ヽ
ヽ        i .',',. , イ::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::',:::::::,、:ノ____::::::::
  ヽ、__     i .!i' ! !:::::::::::::::::::ヽ__::::::::::::::::::::::::, --'."::i::i:::::::::::::::::::',ヽ、
`ヽ、      i/ /. ,'. ,'::::::::::::::::::::::::::::i--' ̄::: ̄::::::i !:::::::i::!::::::::::::::::::::!





        ____
       /    \
.    /          \
.  /    ―   ー  \      ……やる夫には、そんな価値、ないですお。
  |    (●)  (●)  |
.  \    (__人__)  /       リンクスでなくなったやる夫には。
.   ノ    ` ⌒´   \
 /´             ヽ

3260 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 21:15:32 ID:eewyaVm60

..     ____
    / ―  -\
..  /  (●)  (●)       やる夫は……リンクスになれるって聞かされた時、嬉しかったんです。
 /     (__人__) \
 |       ` ⌒´   |      これで自分でも、って。
. \           /
.  ノ         \       
/´            ヽ





   / ̄ ̄ ̄\
 /        \
/    ─   ─ ヽ     ……昔、友達がいたんです。友達と、よく、話してたんです。
|    (●)  (●) |
\  ∩(__人/777/      『俺たちは、ただの路上暮らしじゃ終わらない』って。
/  (丶_//// \

3261 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 21:32:11 ID:eewyaVm60

  i .: .: .: .: i.: .: .|.:i.: .: ! Ⅵ.:V.: .:V i:/i\}.: .: .: .: .: .: .: .: .: }
  |...: .: .: .: .: .: .:斗:-┼.ハ : }',.: ∨\i:i}-、.: .: .: .: .: .: .: .:i
  | .: .: .: : .:',.: {八.:_.{/ Ⅵ Ⅵ.: }: .: .: |/ }.: .: .: .: .: .: .: .:
  | .: .: .: i.: .:Ⅵ:i爪r'ハ¨¨}} ', Ⅵ:|: .: .: |i , .: .: .: i.: .: .: .::     ……。
  | .: .: .: l .: .: Ⅵ  vリ ノ' }  Ⅵ|: .: .: |//.: .: .: .:| .: .: .: :
  |.:i.: .: .:{ .: .:..八           Ⅵ: .: .: |/.: .: .: .: .i .: .: .: :
  |:.|八.: ハ.: .〈             |: .: .: |、 .: .i : .: .: .: .: .: i
  |:.{⌒Ⅵ∧ .: 、             |: .: .: | }.: .:|: .:..i.: .: .: .: {





        ____
      /      \
     / ─    ─ \
   /   (●)  (●)  \      あの時……。
   |      (__人__)     |
    \    ` ⌒´    ,/
    /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
   /      ,⊆ニ_ヽ、  |
  /    / r─--⊃、  |
  | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |





;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;:;:;;:;:;:;;:;:;;:;::;::::;:;::;::;::;:;:;::::::::::::::::::::::::::::::::::.::.:.::......:..  .....:.:.
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:::.:::.:.:.::.:.::.::.:.::.:.:.:.::.:::.:.:.::.::.::.:.:.::.:.::.:.:.:.::.::.::.::.::.::.:.::.::.::.:.::.::.::.:.::.:.::.:.:.::.:.::.:.:
..:..:.:..:...:.:.:..:..:.:.:..:.:..:.:.:.:..:..:.::..:.:..:.:.:.:.:..:.:..:..:.:.:..:..:..:.:.:..:.:.:..:.:.:.:..:.:.:..:.:.:.:.:.:.:..:
  ..:.:.. .. . ...:.:.:..:... ..:.:.:... . .  ..  .:.:.:.:....   ....:.:.:.. ..:.::..:...  ....:..
...  ...     ...:.:.             .    ...   ....:.:.:.:.::..
               О ゚  。 ノ  、。 ゚  О
             ∩/。◎ ◎。ヽ∩
                弋ゝ (_人_) ノノ  
                |       |
                |       |

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両親が死に、住んでいた家を追い出された後。
訳も分からず路傍で泣き続け、兵士から情けで貰った硬貨も
通りすがりの悪臭を放つごろつきの中年男性に奪われ、
途方に暮れて家の近くでうろついていた。

宛もなく歩き続け、歩き疲れて、どことも知れない家屋の冷たい壁に背を預け、
アスファルトの上に座り込んでいた。

両親を呼ぶこともやめ、喉が渇いた、腹が減ったといった言葉しか思いつかず、
掠れた声で、「水」とぽつぽつ呟くのが精いっぱいになるまで弱り果てていた。

多分、あのままだったら、自分は野垂れ死にしていただろう。
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3262 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 21:33:51 ID:eewyaVm60

          ,..-'": : : : : : : : : : : :.,..- ..,,: : : :',: : : :.: :ヽ,,,,,,,,,,,
     ._..- ̄~/i: : : : : : : : : .,'´    `'-.: : ::/: : : : :,/
  ._..-'"   / │ /''''>: :,il'''′     ゙'ッ_"": : : `゙,゙ニ=‐
.-'"     ./ / /  ./ :./ `''ー ..,,,,,,,,、     ヽ.: : /
       ,l!-ッ : !、 .! ,i′ .‐'''ニヽ    ',   / : : :!
  .     l ,'-''li..-ヘ,,,¨   'ー゙‐'    -、\ l: ィ-ィ-ゝ
 │   /   |   /',          |フ..〉 ./ ̄゛ ',
  !   .l゙   .l、 i′ヽ       !  ´ .,/゛    !
  .!  l゙    l゙ヽ.゙   l  , - 、  ‐  ,.イ      ゙l
  .|  !   │ `゙'―‐', ´゙ゝ" _..-'" l       │      ……。
   l |   .!       \,_,//   l   /    /
  ./   !    |         /    l ./    /
. /   .l   │       _,./    ,l___,,,,,,,,,,  \
゛    !    !     _..-'" /    ./        l゙
    .!   ,!  ._ /   ./    ./│       !
    .|   !  ゙ !    ./   /  .l       │
    │  !  /   ./  /     |       │
     .|  |   〈  ./ /       !           l
     l  /    ヽ,'./         .!        l
     | /   ._..-レ゙         | ー ,,,   .ヽ  !
     | .,' ̄ ̄   `´゙'、        ヽ   ~`- ̄  ヽ
     |.,' .!        ゙―――――ーゝ ..,,,_  `''‐ ヽ
     l゙  .ヽ                   `゙''ー、,  ヽ
    /    .!                      `'‐、.ヽ
   /     /                          ゙''.l、
  /     /                            ゙ヘ,





               l!i!  ., 、 、i .i! !!
               l!  〇 〇) ヽil |l
               l! (人__) ノ.i!.|l      ……。
               l! (ξ)_,ノ| i!.|l
                   | | .|__ノ
                   LLノ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
そこに、彼が通りすがった。
自分よりそこそこ年上の、けれど少年の域を出ない男。
ごろつきにしては上等な恰好をした彼を、なんともなしに目で追っていると、
彼はふと立ち止まって、こちらを見た。

それから幾らか見つめ合った後、彼は黙ってジャケットの内側を探り、
何度も使いまわした形跡のあるペットボトルを差し出してきた。
中には澄んだ水が入っており、それを見た途端、思考が吹っ飛んだ。

彼の手からボトルを奪い取り、中身を夢中で喉へと流し込んだ。
落ち着きを取り戻し、少ししてから、立ち尽くしていた彼がぽつりと呟いた。

「どうしてこんなことしてんだろうなぁ、俺」
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3263 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 21:38:38 ID:eewyaVm60

        __ ノヽv
          `>、    `Yト、
        /  、ヽ )) ノ  ル′
      イ  >r─-、ノノィ了
      ムィヒュ}ハゝ_ `ー彡′
         久4iり ァ‐ ` rイ
     /〈 ヽ   `´  fソ r‐、
     ノ`ー、ヽ \  ‐r┘r<_ハ勹、
    /    \\ 〉‐<ト、 `ーヒニソト、        「それもそうですお。八歳の子供があんなスラムに一人で放り出されて、
   /      \\ \〉  l|  l |
   〈           \\ \ノト-┘|         十年近くも生き残れる訳がありませんお。
   l.l         \\ Y   |
   ||      l/       \ヽト、_ ノ          ……一人でなら」
   ll     .イ!       ヽハ{
   |   〃l!ト、       ヽ\
   |     》 `┬<__   ヽト、
   l   / 7´ ̄`ヽ    `ヽ   N
   l     ノ      人         ト、
   ヽ、_______ 人      |∧
       // T   フハ       l il
        〃   l       ハ    / l|
       〈    l  /      ヽ、_ノ个〈|
        ヽ  |Y/        / l
        \ハiノ          / /
           {         / ,'
           |        ,' l
           |         /  |
           |      /   ,'

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彼はただ、クニヒコ、と名乗った。
年齢は当時十五歳だと言っていたはずだ。

路上暮らしは当然自分より先輩で、十三の頃からだと言っていた。
ただ、その割には体つきもしっかりしており、ぼろぼろではあるものの
しっかりとしたジャケットとパンツを着こんでいた。

そんな彼に自分はついていき、特に何か決まり事も作ったりもせず、
一緒に配給の列に並び、時として彼の稼ぎ、まあ、スリだったのだが。
それにも付き合うようになっていった。
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3264 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 21:49:10 ID:eewyaVm60

     <:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} /
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    ノ:::::::/⌒ }:::::l     ̄`    r=ヘ::::ハ
   /:::::::::::'、 { ハ::::{            fア`}ノて
   ⌒Y::::::::}o_ Ⅵ            `Yイ
    /)人/  }       ;: 「二`ヽ、イ/         おお、六本も……! 背が小さいからやりやすいのかね?
      /   \       `ー、)_ン ノ′
     rー┴- 、         ー  /           とにかくでかしたぜ、やる夫! 今日はベンダーの中身を空に……
, -─‐' -- 、 \  \       /
         丶、\  `丶_/              って、財布の中身が空だな……こいつは入ってるか。
          \ \ イ\
           {ト、 \\.\              
 ,    ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ } 「`ヽ \
                 ト、 \ ト、 ト 、
                   \」| ', \ `ー- 、
                    `ヽ ヘ  '.   \             /
                   \   、    }          _,.   ´





                   - -、
                ● ●) ヽ      ベンダーって、壊せないのかお?
                   (人__) ノ
              /      ヽ      「防弾素材に耐衝撃コーティング……とにかく滅茶苦茶かてえんだ、無理」
.                (|     し'
                   .し    J

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
クニヒコは両親がオルデンブルクアジア支部の社員だったものの、汚職が発覚。
かなりの金額が横領されていたらしく、二人とも財産没収の末に
コロニーから追放され、ついでに息子のクニヒコも上級市民IDを剥奪された、
と語っていた。つまり、元は自分よりも良い生活をしていたのだ。

オルデンブルクのコロニー管理が杜撰なため、トウキョウの居住区には
修理もなされていない廃墟が数多く存在しており、それを転々としながら
スリで得た金と配給食で日々を凌いでいた。

いつしかスリは自分がやった方が効率も良いしリスクも少ないということで、
自分が担当することになった。もしかしたら、彼も彼で自分を利用しようと
していたのかもしれない。実行犯を他人に任せられれば、
もしも捕まったとしても、彼に憲兵の手が伸びることはなかったろうから。

だが、彼は自分が成果を持ち帰る度、いつしか自分の無事も喜ぶようになっていった。
段々リスクを避けようと場所も変えるようになった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3265 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 21:59:53 ID:eewyaVm60

                        .ィ__
                    _ .::::´::::::::::::::::て
                  人ノ:::::::::::::::::::::::::::::::::::\
                、):::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::て
                   {:::::::::::/ ̄}::::::::::::::::::::::::::::::(
                  ヽr'"/   ヽ:::::::r=-、::::::::::ミ__∠
                  〈、  f}`   }:::::}に l}:::::::///  
                     `}  ´    ゝイ rイ:::::::( >´         「こんなにお金集めて、どうするんだお?」
                    く_ __ィ     ノ ∨(´イ
                    ヾフ′   /  }/ \_         へへ、聞いて驚くなよ。
                        l   /  ,  ┴ 、  /
                       _`二∧// ̄ ̄{イ/          ……市民IDのクラスを上げるには、
                 ,   ´ //イ/     ト、 /
                  /   //  /         ヽハ          企業から目をかけられるか、結構な額を積む必要がある。
               l    /  /|          }|
             /ヽ/ /  / ノ            |           けどな、一月だけ……臨時上級IDって仕組みがある。
          , <  、| _r-、_∠               |
         /r==- 、 rくヽヽ」┘            / イ__          大体十分の一くらいの額で取得できてな。
         /- f     >'ー`           7/ / |
      |  {    /           __ ∠ -一j !            医者に罹りたい奴とかは、大抵そうしてる。
      /    ∨  /          /      / |
       {    ∨              ´       / |            上級なら医療費も八割企業が持ってくれるからな。
       ヽ、__ヽ、      > ´           }  |
         / / \___/              /   !
         / /                  /     |
      / /                 /       |
       / 「                   r''          |
     /   }                   /|        |
   /   イ                    /|        |
 /    /|              /l |        |





                 / `ー┘\|\_,
            、-‐' ´  __ト、     `ヽノl
             ) `ー-'     \|!      |
           /     _ __     i     !
          ∠     く     ̄`ヽレ‐‐┐  レ|
          丿     / ,r‐-、       |   /
         ∠、    | ´  __ミコ j  r=-‐'l   L
           ヽ r-、 |   r'´o`   '´o` !  /              で、だ。トウキョウのエリアC-6……端っこの方な。
            ハ | .!   `  ´   l `  トレ' 
             ス_ヽ|        ,   /ノ                 そこにネクスト整備施設っていうのがあるんだ。
   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄フ 〉 `l   r-、___  /__ _
  /         |! |  ゝ、  `  ̄ ̄ ̄´ /       \           そこには……なんと対コジマ装甲のノーマルもある!
            |  !    ヽ      /          丶
            |  ト、     ` ー, イ             |          親父が昔言ってたんだよ。トウキョウの施設で、
         ノ`ハ  l `ー-、__/_,|             |
     ___/ /_アヽ |          |             |           そういうのがあるってな。
    (___|  / /  r' |          |             ソ―-、__, -v―、
       | ム,'   L_| r‐、       |   〉     r-、__/     |  ヽ_ノ   
       L_ ゝ__   レ' /   r‐、  |  /    /     __  ,r‐ 〉  〉
         ヽ |     / ̄`v'   |   |  \    ヽ /`ト- / -| |  |   /
         |    、_/  、    /   |   \     レ' |  |   |    L/
         |         >‐‐ '   |    /     ゝ-'⌒ヽ、__人_/
         |       /      |   /              | ヽ

3266 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 22:10:55 ID:eewyaVm60

          /\          イ
            /::::::::::::ー -- 一 ´:::::::l
      ト、__/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
      |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:\
    ヽー' :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:   ア
      |::::ヽヽ:::::::::::::/::/:::::::::´::::.:.:.:.:.:.:.:    |
     |::::::::::`:::::::::〃:::::::/:.:.:´⌒:.:.:.:.:     ヘ
      l:::::::::/ ̄ヽ-‐ 一  ̄`ー-‐、::.:::.:.:.:....   ヽ      で、俺たちはその臨時IDを金貯めて取得して……
   ∠:::::::::|             ゝ.:.:‐-:、    \
    T:::::/-‐、     _    く::.:ヽ、:     /      基地に入るんだ。そこで働かせてくれって頭下げるもよし。
     \イ  ̄``   ー― ==-、 ヽ:.:ヽ:   /
       {| r fjト    ィ,ァー-、   〉:::r=-、 |         無理そうなら……そのノーマルをかっぱらって逃げる。
       i  ー-      ー-‐   /:::/ ⌒ l:.:ミ
         i    ,           /::/o ノ//          「無茶じゃないかお?」
       、    、         〃' -ィ\| 
        、               /  |ト             無茶しなきゃあなあ。でねえとこのままだ。
         ヽ `ー-‐-‐'    /   |/
           、  ー     /    /
            、     /     /
            ー-<     /
                /ヽ /

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臨時IDという制度は、労働者たちの希望だった。
金を溜めてそれを取得すれば、仕事だって相応の機会を得られる。
そうしてコロニーに押し込められ、労働に従事し、ギリギリの賃金で生を繋ぐ
日々を脱し、華やかな上級ID所持者としての生活を望める。

クニヒコもそれを狙っているようだった。
しかも、ただ上級ID所持者になろうと思っているわけではないようで、
彼はよく「稼ぐだけじゃねえ。デカくなるんだ。誰も無視できねえくらいに」と語った。

そのために、彼は武力に目を付けていた。ノーマル乗りになろうとしていたのだ。
実際、コロニーの若者たちにとって、唯一の希望とも呼べるのが、
ノーマル乗りという道だった。専門技術はいらず、ACの基本操作さえ覚えれば
誰でも操縦できるという点から、一番の近道だった。

彼はそこからさらに成り上がっていくのだと、よく自分に語って聞かせた。
当時は自分もAMS適性について大した知識もなく、
まさか自分のような人間にもあるとは思っていなかったため、
上手くいけば自分もノーマル乗りになるのだと思っていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3267 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 22:19:38 ID:eewyaVm60

       /`ー〃/    <_
    |!/|l/  /          ̄ ̄二=─
  |Vl ヽ /ヘ 〃´ 彡         ゝ
 \ヽヽ     _              \
 ヽ、ト、.__,,. '"´   `ゝ             \
  \/    ___ ミ、              >
    ム ヽー''"´-‐-、  ヽ   / ̄ ヽ        ト      世の中は結構単純だ。雇い主さえいれば食っていける。
   ヽ-、    、 _fj_〉  |  l! l⌒) l      ナ
    | f〉         | / 〈oノ /       广       最悪敵対企業の施設まで逃げて、そこで雇ってもらうさ。
    レ'          レ′ r-‐' l    r彳
    ヽ            |   V、__/⌒ヽ         もしもかっぱらう場合は、一番性能が良さそうなのにしようぜ!
      、ー一‐'''´     ノ_ / ̄ ̄〉
      ヽ ̄´     -/'´       `7
       l    //             ヽ
       `ー-‐ / /             \
          / /              ヽ
       //  /                   l
      / /   l                     l
        |l /  |





    Z  从  v 〃:::::::::::::::::::_,,:::::::::::::ミ
 ト、V  ,"  〃:::::v〃:::::__‐''"~  ミ:::::::::::ア
 ミ  ミ/ヽ、 ::::-''""::__,,,,,_ "''フ::::::::::::::::::::<
|'- ,,_  ,,,、 ::_,,-‐''""   `,::::`"''''‐-、、:::::::ミ
ヽミ  / `"~        /:::::::::::___ ミ ::::::::了      俺もおまえもよ、こんな生活するために生まれてきたワケ、ねえんだ。
   ミ|''‐-、 、__..,,,-‐"''''‐ "‐r::::「=、ゝ:::::::r''
    \‐q、   ,,u‐-、   |::::|⌒ ):::::/         負け組になるために生まれてきたなんてあるわけねえ。
    ミ|`"   `‐- ''    |::ノヾ/‐くv"‐-、_
      l ノ         W |  ノ ヽ        俺は、俺らは、デカくなるんだ。誰からも踏みつけられないくらいにな。
   _,-‐'''ヽ 、,,_         /  /  /
 /    \、,,_____      ノ  /  /         「……うん」
/       ヽ、  `   /  /  /
|        /`,   __,,イ   /   /
.|        /  `~i゙ゝ、`''、  /    /

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その理屈は、自分にとっても希望だった。
このまま終わりたくない。その想いは一緒だ。

ただ、それ以上に、クニヒコの役に立ちたかった。
自分を拾ってくれた彼に、生き永らえる術を教えてくれた彼と共に在るために。
それに、自分も良い生活はしてみたかったし、ここで死ぬというのも嫌だった。

クニヒコが成り上がりたいと言わなければそれまでだったろうが、
彼がそう言うのであれば、自分はどこまでもついていこうと思っていた。

最悪の場所で最悪の暮らしの中で、彼の隣だけが、辛うじて笑える場所だったから。
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3268 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 22:30:02 ID:eewyaVm60

        / ̄ ̄ ̄ \
       ノし ゙\, .,、,/"u\
     / ⌒ (◎)ヾ'(◎)u \
      | u  ⌒゙(__人__)"⌒ u |
       \ u   `ヾ,┬、/` ,/
.       /⌒/^ヽ、 )__( ,ィヽ、
      /  ,ゞ ,ノ ゙⌒" ,  ゝ、
     l /  /      ト/.\\





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`Y:::/⌒Y:::Y  __ヾミ、   }l   /:::::|::::!::::}:::::::::::::::
ノ::::{ { i:::::|  《  aヾゞ彡  /:::::::::::|::/:::/:::::::::::::::
 ̄八、ヾハ:::{   ー一 -='  イ:::::::::::::l/:::/:::::::::::::_:_
─ァ´ \ Ⅵ 「 ̄ ̄ ̄}    {|:::::::::::::::/::::::::::/ヽ   
 /   / ̄l ヽ     」     l|:::::::::/:::::::::::::/       
 l  |  ヽ   ̄ ̄ ___r‐-|:::/:::::::::::::::::::>、
 |   ∧    \   /'ー─{ -|、, --、::::::::/:{::::\     
 |   ∧     \ヾノ`Y       ̄}:\/\::::ヽ
 | -─┴ ___.ノ -ァ′ /       ̄l::::::::\:
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             {     / - =    /::::::::::::::

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がむしゃらだった。
ゴロツキ同士の縄張り争いで、人をたくさん殴ったり蹴ったりもした。
クニヒコも拳銃こそ持っていたものの撃ちはせず、脅し程度に使っていたので、
結局は殴り合いだった。ただ、それも積極的にはやらなかった。

別に自分は体格に恵まれていたわけでもないし、
クニヒコも特別筋肉質というわけでもなければ格闘技の経験者というわけでもない。

大抵はスリと配給の受け取りを繰り返しながら手ごろな廃墟を転々として、
諍いが起きれば逃げ、勝てそうだったら殴り合った。

そうやって、何度対汚染ドーム越しに夕暮れを眺めただろうか。

恐らく十歳になる頃に、それは起きた。
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3269 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 22:36:29 ID:eewyaVm60

                  |V:::::::::::::::::::::::
                    l`゛::::,,,,.::::::::::::::::::~V|
                   'ly/ ̄ ヽ_::::::::::::::::::::|
        。   。  ゚ 。 |゙゙ ..,- 丶 /:/゙'l,::::::::ゝ 
         ゚  ゚     ゚  タイ    ゙´。__/::::::.イ
              ゚  / . ′    / .l、::ッ-″
                   ヽ,、    ̄´  .メy
                     `'Y      !
               ,, -‐‐‐-- / l、  ,,,,,__ |'ー、
          ,r -'"     / 丿"'¨´   `'!、 .ヽ、
     ____,, -ゝ     ,,-'"  /    i     / l  ̄^'''''‐、
__,, -''''´          \ /      l   / / __l      i    __   __ __
            /´ ̄.フ       !  / //        l、   l l / ノ ノ
               l  /        l│./ / \        `゙'' vl _l/ / /-、
        ⌒ゝ / /}        リ  /  /   l         l  l  l l r ‐'
⌒l-ー''''"゙ ̄ ̄/// l        /  .i   /    |.        .l .┴┴ !┤
__ l、      ノ !/   l        !   l   /    /ヽ.       l   ---- l
.. ノ `ヽ、  / /   .!         / l /    l  ヽ     _丿     / .l
  `ー‐′ /   /   l            r-' | !     l    ヽ  / __ ゝ ソ 丿





         :, -─‐──‐-、:
          :/     #;;;;゚┳  \:
       :/ ;  ゜#     °  \:」
      :l  .U┳     ; ;;;;;#;;;;;;;;;;;; l⌒ '";;;; ヽ、:
       :|;;;;#;;;┃;;; ;;  u.    ;   |ー       \:
.      :! u. _ノ#ヽ、__ # ∪        ;;;  ,;   \ ,rー、:
        :ゝ。((-‐)  ;;;;;;(--)::。 i';;;⌒┳ ̄` ̄ ̄ ̄ヾ`ヽ ヽ:
       :(  ヽ'"(__人___)"'__ ,ノ ヽ、__;;__"___,、___ソノ__ノ:
  ´ ´ `゚~゜´^" ´~`゚゜`⌒ ´"´´゚^゚^ ~゜゚`´^゙^ ^´'゜´^゚´ '゚^´゙ ^ ゚゜

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夜明け頃に、別の廃墟を探そうと二人で移動を始めた時だった。
後ろから別の浮浪者に襲われたのだ。

クニヒコがベルトに差していた拳銃を奪われ、銃口を突き付けられ、
抵抗を禁じられたままタコ殴りにされた。

今までが奇跡のようなものだったのだ。幸運だったのだ。
それが尽きただけのことであり、そういった光景もありふれたものだった。
自分たちの番が回ってきたのだ。

それでも、命まで奪われることはそうそうない。
無一文の者をわざわざ殺したところで得られるものもそうないからだ。

今回はツイていなかった。溜めこみ続けた金が入った鞄も奪われるだろう。
一からやり直しか。もしくは後々奪い返すのか。
しこたま殴る蹴るを繰り返され、体中が熱を帯び、ぼんやりとする意識の中で
考えていると、視界の端で倒れ伏したクニヒコが男たちの足に掴みかかった。
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3270 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 22:41:00 ID:eewyaVm60

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クニヒコは、それまでの努力が水泡に帰すのが耐えられなかったのだろう。
男の足に掴みかかり、囲んで蹴られながらも離さず、やがて足を掴まれていた
男が悲鳴を上げた。噛みつきでもしたのだろうか。

それからは、よく覚えていない。

男たちが去った後には、血だまりの中で転がったまま、
冷たくなっているクニヒコだけが残されていた。
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3271 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 22:49:50 ID:eewyaVm60

         _ ノ゛,, ;、、、 '⌒ゝ、 ',
       `┬;;;:::┬′   ィ===yl
        ⌒゙''''''´"        }
     l!            u   ./    クニヒコ……
   i! |l     /´   |   ゝ /
\  l| l      ゝ、____人_____ソ
  ` .、  ι     、::::::::::ノ/
   :ミ:ー.、._        ̄  ``'''ー-、

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鈍い痛みに苛まれろくに動かぬ足を引きずり、物言わぬクニヒコのところまで
行くと、そのままくずおれた。揺さぶっても名前を呼んでもクニヒコは起きなかった。

しばらくして、震えが止まらなくなった。
走り出して、そのまま逃げ去った。
怖かった。何か複雑な感情なんて持ち合わせていなかった。
ただ、怖かった。涙と鼻水と血と小便を垂れ流しながら、走った。
片割れを殺された獣のように、ただひたすらに。

そこから先は、大して変わらなかった。
クニヒコが死のうと、腹は減るし喉は乾く。眠らなければ身体が持たない。
延々と、そうした日々の繰り返しが、再び始まった。
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3272 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 23:21:24 ID:eewyaVm60

      ___
     /::::::::::::::: \
    /::::::::::::::::::::::::::::\
  /::::::::::::::::::::::::::::::   \
. |:::::::::::::::::::::::::::(ー) .  |
  \    (__人__) .  /

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ただ、クニヒコと一緒に居た頃ほどの貪欲さはなくなった。
食糧も毛布も何でも、持ち切れなかったりする分はそこらの行き倒れている
他の子供に明け渡したり、なんてことも多くなった。

ある日、いつものように配給を受け、裏通りへと足を踏み入れると、
家屋の裏で蹲る少女を見かけた。

栗色の髪は枯れ木のようにぱさつき、雑巾を纏っているかのような服装だったが、
伸び放題の髪の下の顔つきは些か愛嬌があるように思えた。

少女に配給食の内の一パックを渡す時、こう吐露した。

「一人だと、なんか、さ。あげるよ」

すると、少女は二人で食べることを提案してきた。
当然訝しんだが、周囲に人の気配もなかったので、そのまま隣に腰を落とした。

どうやら少女は、居住権を失って後、ずっと一人の男と生活していたらしい。
今となって思えば、慰み者として重宝されていたのだろう。

ただ、少女に食事を分け与えた時、クニヒコと最初に出会った時のことを
思い出した。彼も、こんな気持ちだったのだろうか。
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3273 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 23:27:35 ID:eewyaVm60

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    / ―  -\
..  /  (●)  (●)
 /     (__人__) \     戻ったお……。
 |       ` ⌒´   |
. \           /
.  ノ         \
/´            ヽ





        ____
       /    \
.    /          \
.  /    ―   ー  \      ……。
  |    (●)  (●)  |
.  \    (__人__)  /
.   ノ    ` ⌒´   \
 /´             ヽ




     ____
   /       \
  /      ―   ‐
/        ( ●)  )    くだらないお。
|            (__ノ、_)
\           `_⌒
/           \

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
少女は何も敷かずに座り込んでいたため、他の廃墟に置いていた
毛布を取りに行った。別に少女をどうこうするつもりもなければ、
ずっと一緒に居るつもりもなかった。極めて短絡的な行動だった。
しかし、一晩くらいは面倒を見ようと、そう思ったのだ。

少しして戻ると、少女はアスファルトの上に倒れ込み、肩で息をしていた。
駈け寄って確かめると、身体が熱かった。
まあ、事の顛末としては、病気を患い男に捨てられたところに、
自分が通りがかったというだけのことだろう。

しばらくすると、少女もまた、クニヒコ同様に動かなくなった。
冷たくなっていく少女を傍目に、彼女に掛ける筈だった毛布を羽織り、吐き捨てた。

何もかもがくだらなく思えていた。この場所も、暮らしも、自分という人間も。
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3274 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 23:31:01 ID:eewyaVm60

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...  ...     ...:.:.             .    ...   ....:.:.:.:.::..

..     ____
    / ―  -\
..  /  (●)  (●)      ネクストに乗れるって聞いた時、嬉しかったんですお。
 /     (__人__) \
 |       ` ⌒´   |     ネクストに乗れれば、自分でも、強い力が持てる。守ったり壊したりできる。
. \           /
.  ノ         \      あの黒いネクストみたいに。
/´            ヽ




   / ̄ ̄ ̄\
 /        \
/    ─   ─ ヽ     そうだお。やる夫は、黒いネクストに親が殺されたし、思うところもあったお。
|    (●)  (●) |
\  ∩(__人/777/      けど……それ以上に、憧れたんですお。それだけの強大なものに。
/  (丶_//// \

3275 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 23:38:04 ID:eewyaVm60

         ____
        /― ― \
      /(●)  (●) \
     /   (__人__)     \      やる夫は……望んで人殺しになったんですお。それなのに、こんな……。
      |    ` ⌒´      |
      \           /       アリー・アル・サーシェスの言う通りですお。
        /         \
       |              )      望んで人殺しになって、途中で怖くなって、今頃マトモぶったところで。
.     |  |         /  /
       |   |       /  / |       
       |  |      /  /  |
      (YYYヾ  Y (YYYヽ |
     (___ノ-'-('___)_ノ





   / ̄ ̄ ̄\
.. / /     \ \ 
/  (●)  (●)  \     やる夫には、はやてさんに良くしてもらうような価値なんてないんですお。
|    (__人__)    |
\    ` ⌒´    /
/              \

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何もなかった自分でも、ネクストに乗れさえすれば。
それだけの強大な力があれば。

何かの役に立てる。誰かが必要としてくれる。
大きなものを守ったり、壊したりできる。

自分のような人間にも、価値が生まれる。

そうだ、たったそれだけの理由だった。
あれだけ力を欲していた理由は、ただ価値が欲しかった。
自分の存在に、命に、価値が欲しかったのだ。

そのためだけに、ネクストに乗り、戦場に出て、殺戮を繰り返した。
笑い種だ。これほどまでに軽薄な理由で人を殺す者が他にいるだろうか。

サーシェスの言葉を受けて以来、奥底でずっと考えていた。
きっと、自分は価値が欲しかったのだ。理由が欲しかったのだ。
自分を自分たらしめてくれるものが欲しくて、それをネクストに求めたのだ。
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3276 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 23:43:29 ID:eewyaVm60

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  \    (__人__) .  /

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俯き、目を瞑る。
やはり、駄目だ。こんな生活もそろそろ終わりにするべきだ。
最初から、自分のことなんてどうでもよかった。

ここで暮らすのはいい。けれど、これ以上はやてに迷惑もかけられない。
彼女は自分を罪のない子供のように扱うが、それは大きな間違いだ。
この家で、はやての重荷となって生きていくのは、良くないだろう。
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3277 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 23:46:57 ID:eewyaVm60

             , - ー― -   ..
      ,  '": : : : : : : : : : : : : : : : : :> ..
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  ,. ' : : : : : ヾ,ィ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
 ,.': : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ: : : : 、 ヽ、
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' : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 、: : : : :'、: ヽ:.',ヾ、
: : : : : : /: : : : : : : : ,: : : ', : : : : : : : : : : : : ヽ.: : : : ', : ',:.!
: : : : : :,': : : : : : : : /ミ彡ヽ: : : : : : : : : : : : : :',: : : ,ィ',、 ',:!
: : : : : :i: : !: : : : : :i!    ',:',: : : :、 : : ', : : : : ',://!:',: !
: : : : :, i: : !: : : : : :i   _ ,:i、: : : :!,: : :',: : !,: : ',イイ.ノ:/リ
: : :!: :i: ! : i: : : : :', ', ´   リ ヽ: : :!',: : i:.!: !',: : :!,イ: i i!
: : :! : i: ',: :i: !: : : :ヾ、    -―-'、: ! ': : !リリ !: : !.!: : i
: : :!: : !: !,: !:!ヽ: : : !,,ィ示千キ''ヾ ヾ ',: !==''!:/! i: :,'i!
: : :!: : ! i ヽ',). ', : : ',`<Z汐     i i/   !'ヾ',!/ i!
: : :',: : ', ヽ、`- ヽ: : ',             ヽ   .,: : :ヽ、         ……で? それだけかいな?
:.i!: :',: : ',: : : ヽ_ノ、ヾ'、              ,.イ: : : ',、ヽ
:.!i: : ',: : '、: : : :! ヽ:` 、       -=='  , イ!,、ヽ., -- 、',        「えっ」
:i !', : '、: : ヽ: : ヽ '、: ヽ',>   __ .イ : !i:!ゝイニ ̄ .'、
:i i:.'、: : 〉、 : ',、: : \ ',: :',ヾ /、`ー-,  ̄ ̄r‐'‐'     ',       あんなぁ、私を舐めすぎやで、自分。
',',',: i'、/, ヾ: ', `ヾ、ヽ!:i:i`ヾ''!_ヽ  i!i    ヽノ丶       ',
ヾヾ./ ヾ、 ヾ、   `i:iリ  /;;;;;;ヽ. ゞ==---、   ヽ.     ',ヽ、__    それくらいのことで、はいそーですかと言うと?
  /   ヾ、       リ,i! /;;;;;;;;;;;;;ヽ 、   ヾ、.  ゝ、  ノイ/::!
_/   / ヾ、   // !i、`ー--〈;;;`ヽ、ー――--}`ー―‐''"::::::::}
. /   /    ヾ,、. // i !:::`ヽ、 ヽ;;;;;;;;;;;ヽ::::::ヽ:::::\::::::::::::::::::::::::i!
/   /     ヽ_/ , i !、:::::::::::>ヽ;;;/:: ̄ヽ/..、::::::::\::::::::::::::::::ノ、
イ  ̄ `ヽ、   ,ィ , イ  !'、:::::::::::::,::-、>、:::::ヽ::::`i::::::::::ヽ--ー"イi
      `ヽ  i !     i:',:ゝ''":::::::::::::',:::::::`ヽヽ:::i:::::::::::::::',: ̄:::イ!
          i !     !::'、:::::::::::::::::::::ゝ-----ゝ'::::::::::::::::i::::::::::::::ヽ、
         i i !    /:::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',゚:::::::::::::i!:::::::::::::::::::ヽ
ヽ        i .',',. , イ::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::',:::::::,、:ノ____::::::::
  ヽ、__     i .!i' ! !:::::::::::::::::::ヽ__::::::::::::::::::::::::, --'."::i::i:::::::::::::::::::',ヽ、
`ヽ、      i/ /. ,'. ,'::::::::::::::::::::::::::::i--' ̄::: ̄::::::i !:::::::i::!::::::::::::::::::::!

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だが、返ってきたのは、予想だにしなかったものだった。
はやてが呆れたように溜め息を吐くのが聞こえる。

顔を上げて見ると、頬杖を突きながら目を細める彼女の姿があった。
呆然と立ち尽くす自分に、彼女もまた椅子から立ち上がり、歩み寄ってくる。
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3278 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/26(月) 23:55:50 ID:eewyaVm60

              -‐━━=ミ
          /⌒:^.: : : : : : : : : ::>
       _.-=ミ: : : : \: : : : : : : : :V: `.
       .ィ: : : : 7:〉 :∧: : :V: : : : : : :〈/: /〉:.
     /: : : : : :|/ | : :|:V: : :i : :| : : : : V〉: : ハ
.    /: : : : : : :|i !::斗-V: :|ー|‐|:-|: ::|:|i: : : |i
    ′l: : |i :|i |i_,.ィテテミ : : |N|ィテミN: |:|i: : : |i
   { |:::|i :|i |i  r勿, |:N  r勿ノ !::|:|5!: : : .       君が自分のない人間な理由もよう分かった。
.      从::|i: |i |i: ^¨¨  i      」::|:|,ノ: ;小:.
.      〕: :|i |N」    ,  、  .: /|:| : /: : :|i       けどなぁ、やる夫君はただヤケ起こしてるようにしか見えへんで。
        |i ||:|:i>       .ィ :/::」:/〈: : : 八
        |i ||:|:|///〕ニ=-   | l: : :/  V⌒V:\      どうすればええか分からんで、無力感と罪悪感ばっか募らせて。
        |i7⌒V| V寸ニニ才 !: /   \_,V⌒ :、
.       _ --厶ヘ V  V /⌒丶 | {    -=ミ,V{  ,ハ     けどなあ、それは君が狭い世界で生きてきたからや。
     〈,   /     V V^V__/^V |/ /    \ /
    /∧ /     }.  }i / Vi{  」 /  ______ /   __     悟ったようなこと言うには百年早いわ。
.    {  V      ,リ,  }i   i{  }i,  /    |ー━=ミ」
    r」  ⌒ー‐―( ̄ ̄〉ム  /|  i|/    |    _.」L
    |⌒ー}     /    \ V   /  \   _|  ー=ミ__ )
    |   ノ    ,/       \ ./   f/―‐┐___   } \
   ∧__(___  _/        \   /  ̄ ̄〉 乙...
    /   /八       _ji斗~'へ  ̄ ̄|   」(
 /  /   / ̄,.. .-‐ '''""~         .V  rノ.   \





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  |:.:|:.:.:|:.:|:|:.:.:|:.:.:.:|斗ぅ=ミ :|:.:.:.:.:|ァう=ミ: |:.:.:.:|:.:.:.:.: |      君がどれだけ自分を責めてもな、私には関係あらへんで。
  |:.:|:.:.:|:.:|:|:.:.:|:.:.:.:{ )いハ 从:.:.:.:.| )いハ Y:.:.: ノ:.:.:.:.: |
  |:.:|:.:.:|:.:|ヘ:.人:.:.: 乂;;ツ   \:.| 乂;;ツ 从:.Λ:.:. /:.|       私は君がええ子や思うとるし、それは変わらん。
  |八:.:.|:人:|:.\\ト''        '''  /:.:.:/ }:.:.:.:.:.|
     \   |:.:.:.:.:.八     '    _,   /彡/_,ノ:.:.:.:.:.:|       もしも私に悪いなぁて思うんなら……
       八:.:.:.:.:.个   `       イ:.:.:.:| :.:.:.:. |:.|
       /:/:.\/ ̄         < |\__:.:|:. /:.:八|        しっかりと自分を持った人になって、幸せになって、
     /:/⌒∨ :. :. :. {\>r≦.  ノ| : :. :. :. :.\:.:.:|
    /:.:./ :.:.:.: ∨:. :. Λニ=‐‐=ニニニニ|:. :. :. :. :. :./:.八        私の寝覚めを良くしいや。
   ⌒ア/:.:.:.:.:.:.:.:∨ /  ∨二二二./|:. :. :. :. :/:.:.:∨\
 / ̄ ̄/::::::::::::::::::::∨   Vニ>''´  |:: :: :: :: /::::::::::∨__
:: :: :: :: 厂 ̄ ̄\:: /{__/{⌒`}\  Λ::: :: ::/::::::::::::::::⌒\
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3279 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/27(火) 00:01:47 ID:AL7CGfaE0

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         .: .:/.:.|.: .: |.: .:| :|_|_. .: .: .: \ : | .: |.:_:|_.:|.: .: .: .:| : ..',
       ∥:/.: .:|.: .: |.: .:| .: 八.:.:\.: .: .: : |/|.: .|.: .: |.: .: |:∨ : .: ',
      ∥.: .: .: |.: .: |.: .八:\__\:(_\ : .: |  |.: .|.: .: |.: .: |) |.: .: .: :',
      { i.: .: : | .: 人: .: .: / ̄ノハ \.:|  x===ミ.: .:人八.: .: .:.:',       価値なんてなくてもな、人間生きられるんや。
         |.: .: : |.: : : |:\ : 乂 乂^ツ   )   , ,  ノ/イ.: :| : : .: .: ',
          j八.:.:.|八.: |.: .:| .: .: :>, ,   、        /|: j|.:.:.:|.:\.: .: .:',      そないなもん、必要ないんよ。やる夫君。
         \| | :\.:.:.| : .: 込    _   '⌒)   .: :| :リ.:.:.:|.: .:.:\.:.:.:',
           :|.: .: .: .:|.:|\.: .:> ,.  '‐-‐  / | ∨/.: .: :|.:\.: .: .: : :      そないなもんがなくても……
          /.:|.:|.: .:.:.:|.:|/(    >   _/ /:| | : .: | .:|\ ̄\.: .:i
            /.: :|.:|.: .:.:.:|.:|//∧  /:::| |\_/../ :| .: : |.: |/∧  ∧.:.|      君は笑ってええんや。
         . .: .:|.:|.: .:.:.:|.:|/⌒∨:::: | \ニニ/  ∧ .: .|.: |__〉 / ∨
         | 八|八.: .:.:|.:|/\_/ :::::: | /⌒> <⌒/:::∧.:.:| :八 ∨ \ ',\
         | / ∧.: : 八  /::::::::::::|  〔:i:i:〕 /:/⌒ハ :|/  \ \ \   \
          /  / :).: .: .:∨⌒7⌒:〕  /:i:i:| /:::::::::::::::〉八 ̄/ ̄ニニニ-_   .
           / / /⌒\.: {.ニ〈::::: 八_/:i:i:i:|::::::::::::::/-=ニ∨:::::∧ニニニ-_   |
.         // _ -ニ//ニ=- ⌒\::::::〈⌒:::/:::::: /〔_______〕L:::/::::::~ニニニニ-_ |
       / く_ノ=/:::::{/:::::``~、::\:::ヽ_/::: /:::::::::::::::::::::::::V::/ ::::: 'ニニニニ_|
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             |:∧: ,: V: 从ィ雫≧、 |∧:| ィ≦雫ミ:|: /-ミ,|:|: :V\
             |:{ V、: ∨:l∧ Vzり   }'  Vzり ノ|/r、 ノ|:|: : |: 、:\      くどいなぁ。サーシェスの言うたことが気になるんか?
             ゞ  }: \〉:∧                ,、_/: |:|: : |: : \:ヽ
                |: :|: :| : ∧     '      ∧: :|: : |:|: : |: : : : \: .    あないなもんどうでもええに決まってる。
                  .': :|: :|: /:个 .    - 、    . 个:l: :|: : |:|: : |\: : : :、ヽ}
                /: : :|: :|:八: }: | > .     <|\: : : ,: : |: : ∧: |\: : }     サーシェスは君のことどうでもええ思うとるやろ、多分。
                ,: : :/:|: :|: : :〉l从/.|\::`´-:/ |、 \- 、: V:/: :l :|  ∨|
                {: :/__|: √/ {' /...|  ><  |..V  \ `7'> 、:|__ }/      だったら、そないなのが言った言葉だって、
             / 「 ̄´  |:/ \  ,'......| ////∧ /....∨ /| /   `Y⌒\
            '  |´ ̄ ̄/ ||   V....../|イ 〉-〈  ,.........∨\〉      /     ヽ     どうでもええて思わん?
          /   ∧   /|/---/... /...| ////| ∧........∧ ̄ ̄\ V       :.
           /__/_/「 ̄   ,.\/.....l |/// |/...∨./.....∨ /  ∨       \    私の言葉より、サーシェスの方が信用できるん?
       /´  / |   /    /. ̄.........∨///_/.........\.......∨ /  }、        \
     / ̄ ̄ ̄ ̄ /    ∧................ ∨...../..................>.....∨  \_>-----  、 \___
      /         イ___/.....\...............∨.,.............../............\__         >  ̄   \
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3280 名前:安価のやる夫だお[sage] 投稿日:2020/10/27(火) 00:10:56 ID:55eSASvU0
信じるというか、心の傷をえぐられて劇物塗られた感じだからね
もしかしてと思っちゃうんだよ

3281 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/27(火) 00:14:12 ID:AL7CGfaE0

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       |八.: .: |.: .: .: :| .: /:\  | :/  |.: .: .: : : / :|.: .: :/ |_,,/|.:. .:.:|.: |
          )八|.: .: .: :|_.:.|      j/  :|.: .: .: : /  |.: .:/  .: .: .:|.:. .:.:|.: |
             |\.: ..:{ )\ ィ芋芋ミ :|.: .: .: / ィ芋芋ミ:/.: .:.人.: : |.: |       そら、はよ寝る支度しい。
           八..:\:{ } ^)\      |/):/      /.: / : .: .: |.: |
             /.: .: .: .: {,/ //⌒:/:/:/:.   〈i    :/:/:/: イ ノ.: .:/.: :| 八       夏祭り行くんやろ? 私も付き合ったるさかい。
         /.: .: /.: / .:.∧        ___       八.: .: / : : |.: |.:\
           /イ. .:/.:./  〈 : : : \__   |    |     . : .: / .: .: .|.: |.: |⌒      君と同年代の子でもおったらええなぁ。
            |.::∧.: `丶、 ̄ ̄\.: .\ \_/   イ : ./:|.: .: .: .:|.: |:八
          _|:〈_∧.: .: .:L\   ).:.:..八     イ  ̄\/.: : |.: .: .: .:|.: |.: : \      いや、おるやろ。多分。知らんけど。
      /  \ ̄ ̄\.: `丶、 .:./⌒\><  |\  /\.: |.: .: .: .:|.: |.: .: .: |
     /  \   \   |.: .: .:|| \     〉::::/  \ \  ∨ : .: . 人八.: .:.:.|
      〈    \)   \__|.: .: :八_ /\  /         |.  /.: .: / ̄ ̄\.:/
     | 、       〉 八.: /  /    /          :| 厶 イ       ∧
     | ∧        |   )' _/    /           .:|    |     /  \
       〉 \    |/ /\    ∧_      //    | ̄ ̄\/  /  ',
      {     \   |/     \   / \ \     //      |  \ ./ ,:    ',
     〈 ̄ ̄\. \ <       \ハ.   \_ _/        |    ∨./    ',
     }      \_/|\        ~}    /Y⌒\      |   \ 〈 / \. ',
     }___/ / |  \     //|   /:i\  /:i:i\    |    \∨       ',
     〈    ./ |   |   \/ /∧ / \/⌒:i「 ̄ \__|     ',      ',
       〕    |  |      /V ∨_  {:i:i:i:i:i:ノ /二=-―…    ', |/     ',
      〕   / .|    \     / ̄ ̄     ∨:i:i〈./             } /       }
      〕  ./  |  \    /           ノ:i:i:i:i:\              ; /  /  }

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はやての有無を言わさない笑顔に、頷く他なかった。
必死の吐露を溜め息と笑顔という形で飲み下され、返す言葉もなく、
否定する言葉も思いつかず、大人しく寝室へと布団を敷きに向かった。

彼女は無力でも無価値でも認めてくれる、いや、
それゆえに自己を否定する行為を良しとしなかった。

こういった時、どうすればいいのだろう。
いや、どうすればいいか、ではなく、やりたいことはある。
どうするのかが正しいのかは分からないが、やりたいことははっきりした。

明日の夏祭りの時にでも、それを言おう。伝えよう。
熱くなる目頭を抑えながら、人知れず思った。
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3282 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/27(火) 00:16:36 ID:AL7CGfaE0

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                               ・

3283 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/27(火) 00:24:16 ID:AL7CGfaE0
~Tips~

               ____
             /      \
           / ─    ─ \
          /   (●)  (●)  \
            |      (__人__)     |
          \     `⌒´    ,/
          /     ー‐    \
【Name】
入束やる夫
【Status】
AMS適性:B
AMSに接続するための適性。
これがなければネクストを操縦できない。
そこそこの適性を持っており、精密な動きを可能とする。

戦闘技術:D→C
ネクストに搭乗しての戦闘経験、知識、技術。
しっかりとした訓練を受けてはいるものの、自分に合った戦闘スタイルが身についていない。

【Note】
日本人の少年。十八歳。誕生日は11月6日。人種としては日本、ベトナム、中国などアジア系の血が滅茶苦茶に混ざっている。
オルデンブルク統治下のコロニー・トウキョウで生まれ、
十年間まともな教育も受けないまま孤児として育つが、
オルデンブルクの行った全市民のAMS適性検査で見出され、リンクス候補生となる。
が、一般教養が皆無であることが災いし認定試験で落第してしまい、リンクスとしての未来が閉ざされかけたところを、
元リンクス、高町なのはに拾われ、独立傭兵としての道を歩むこととなる。
ブライドルランク26。コロニー・トウキョウの軍事施設を間借りして活動する。

【New】
路上暮らし時代に二年近く共に過ごした親友が目の前で死んだ過去を持つ。
以降、自身に強烈な無力感を覚え、世界を壊せるほどの力であるネクストに憧れに近い渇望を抱く。

自分を他者のために使うことで他者から認められたい、生きていることを許されたいという、
かなり変わった形ではあるが思春期の発露と言えなくもない性質の持ち主。

要は精神が摩耗したアンパンマンみたいな奴。顔を食わせてる時だけが安心できる。

根は素直だが頑固な一面もある純朴な少年。
ちょっと極端な部分も強く、こうと決めたら曲げない一途さを持っている。
実は社交的で人と関わるのが好き。一人でなにかしている時より誰かといる時の方が笑顔が多いタイプ。
空っぽな性格故に人からの影響をもろに受ける。周囲の人間次第で聖人にもなるし地獄に堕ちることもある。

十二年近く路上暮らしサバイバルを生き抜いただけあって適応能力が高く、観察眼も鋭い。応用も利かせられる。
社会経験が皆無に等しいため、一般的な道徳に乏しくルールを守りはするが必要とあらば迷いなく破る傾向がある。
他者との関係に依存してはいるが承認欲求などは弱く、社会的評価に興味を示さない。

コジマ汚染への耐久値が常人より優れた値を見せており、リンクスとしては長命。

3284 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/10/27(火) 00:30:31 ID:AL7CGfaE0

                  . . .-─‐-. ミ
                     |: : : : : : : : : : `: ..
                     |: : : : : : : : : : : : /
                    }Ο : : : ◯: : : :,′
                   : : : : : : : : : : : :i       今回はここまでだ。
                      { -===- 、: : :. :.|
                    〉: : : : : : : : : :ノ        言うなればやる夫君のキャラの成り立ちはアナキン・スカイウォーカーや
                  i: :`ニニニ´: : : : ‘,
                 __/ : : : : : : : : : : : : i       ハリー・マクドゥエルに近いものがあるね。
      ___        /.: : : : : : : : : : :‘,.:.三|
     / :::: ヽ: : : :‐--∧_: : : : : : : : : : :./:|: : : |        彼等も何かしらに駆り立てられ、生き急いでいたから。
     .′ :::::::‘: : : : : : }/∧ア´二二ヽ:/ | : : ‘,
.    ‘::::::::::::::ノ: : : : : :ハ \{/: : : :/⌒゙ヽ : : :‘
.       ゝ-=彡-──<¨¨゚‘; .: : :./:::::::::::::::} : :. :.|
                 \: :′:::::::::::/______」
                     弋:::::: /
                       `¨´





            _ _ ___ __ _   __
            / :::::::::::::::::: :i,   .ヽ::::::\
           i:::::::::::::::::::::: i  / \  \
           i :::::::○::::○i/      ̄ ̄
           / :::::::::,,- -_ッi    i i i
          /::::::::::`ー‐'´ヽ   __i i i--i
           /|::::|::::::::::::::::::|:::|   ̄ ̄ ̄|::::::::|      次回は来週の月曜日、11/2の午後八時からだ。
        /::::\ヽ :::::::::::::i:::|      ノ__ノ
         /::::::::::::\\::/|:::|               モコイさんも今しっちゃかめっちゃかな状況だが、
    .   (_ _.) ̄i __.\\ |:::|    i i i
      /::::::/| ̄|ヽ::::: し( メ    ノノノ          投下だけはしっかりやっていきたい。いきがい。
       /::::::/ノ_ _ノ >:::::)     \
    /:::/    /:::/        \__          それじゃ、シーユーアゲイン。
   /:::::/       (_つ        /:::::::::/
   し'                  ノノ・ ./∴:・:
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-◆x0SRSoJXe.

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