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【安価】やる夫は誰かのために戦うようです 52

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2129 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/03/23(月) 20:20:28 ID:m7E2v5/Q0

       ____
   /::::::─三三─\
 /:::::::: (   )三(  )\
 |::::::::::::::::::::(__人__)::::  |
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |       地味に過ごせば、一生分にはなりそうな額だお……
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |
  \:::::::::   |r┬-|  ,/
  ノ::::::::   `ー'´  \

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起き抜けにシャワーを浴び、着替えていると、テーブルに置いたPDAに通知が来ていた。
画面を呼び出すと、白い吹き出しの中に報酬の払い込み通知が表示されていた。

そういえば、今までまともに確認していなかった。
実際の管理も、自分が放置気味だったせいか、なのはに任せきりだった。
電子的な財産の管理などしたこともないし、習慣づいてもいなかったのだ。

結構な量の通知が溜まっていたので、試しに表示してみる。
それを見て、ボタンを留める手が固まった。

見たこともない桁の額が、自分の財産として表示されていたからだ。
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2130 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/03/23(月) 20:32:38 ID:m7E2v5/Q0

     ____
   /      \
  /         \
/           \      普通なら、使い道とか考えるんだろうけど……。
|     \   ,_   |
/  u  ∩ノ ⊃―)/       正直、思いつかないお。飯も寝床も服も揃ってるし。
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |         他のリンクスって何に金使うんだろ。
  \ /___ /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
金に関する話は、だいぶ最初の方になのはからされた。
現状、書類の管理や事務処理は全てなのはがやってくれている。
マーシフルの整備費、格納庫の賃料、仲介料や保険料の支払い、
何から何までなのは任せだ。

それはどうかと、さすがの自分で思わないわけではないが、
分からないのだから任せるしかない。
いずれ自立する日が来るようであれば、話は別だが。

しかし、諸々の雑費を差し引いても、相当な額だ。
何かに使えそうなものだが、何に使えばいいのかさっぱり分からない。

これまで、金が手に入ったとしても、それは紙幣や硬貨といった
貧乏人の代名詞のような形態の金ばかりで、それもスリで手に入れたものだった。
その日の飢えを凌ぐために、街中に置いてあるベンダーに突っ込んでいたが、
今ではその必要もない。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

2131 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/03/23(月) 20:40:27 ID:m7E2v5/Q0

       /  ̄ ̄ \
      /ノ  ヽ__   \
    /(―)  (― )   \       というか、休みの日って何してればいいんだお?
    |.  (_人_)   u |
   \   `⌒ ´     ,/       本部に当てもなく行ってもな……
     /         ヽ
.    / l   ,/  /   i         みんな、どうしてるんだろう。
    (_)   (__ ノ     l
    /  /   ___ ,ノ
    !、___!、_____つ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
金に関しては余裕どころか、普通に生活していく分には余りあるくらいだ。
時間もある。特にこなさなければいけないこともない。
何もしなくても、食堂に行けば食事がとれる。水も飲める。寝床もある。

以前なら体力の消耗を抑えるために、どこか建物の物陰に息を潜め、
堅い地面に横たわって浅い眠りに落ちていたものだが。

とりあえず、意味もなく動く必要も感じなかったので、またベッドに潜ることにした。
着替えたてのシャツが皺くちゃになるのもお構いなしだ。
部屋も掃除するほど汚れていないだろう。
多少埃が積もっていたところで、生きる上で支障はない。

休日というのだから、休んでいればいいはずだ。
横たえた身体を動かさずに、頭の中を空っぽにして目を閉じていれば、
体力の消耗はないはずだ。

早速思考を放棄し、四肢を投げ出して目を瞑ろうとすると、端末が震え出した。

下↓3
1.はやてからだ
2.なのはからだ
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

2132 名前:安価のやる夫だお[sage] 投稿日:2020/03/23(月) 20:54:14 ID:DA/JbDKY0
1

2133 名前:安価のやる夫だお[sage] 投稿日:2020/03/23(月) 20:57:49 ID:N.i8kUVk0
2

2134 名前:安価のやる夫だお[sage] 投稿日:2020/03/23(月) 20:58:05 ID:DA/JbDKY0
1

2135 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/03/23(月) 21:15:19 ID:m7E2v5/Q0

┌──────────────────────────┐
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│                /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\           .│
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│       :.:.:.:.:.:.:.:.: |ΛVΛ|:.:.:.:.:.:.:.:.: |:.:.:.:.:.|/|∨|:.:.:.:|     ......│
│        | :.:.:.:.:.:.:.:.|     |:.:.:.:.:.:.:.:.: |:.:|l:.: |/|〉〈|:.:.:.:|     ......│
│        | :|:.:.:|:.:.:|:|/⌒ |:.:|:.:.:.:.:⌒ト:.|l:.: |/|Λ|:.:.:.:|     ......│
│.         V|:.:.:|:.:.:|:|     人:|:.:.:.八:.:| 八:.:| :. | :. |:.:.:.:|     ......│
│        |:.:.:|:.:.:|:| `i|l    |/ `i|l   Ⅵ : 厂↓:.:.:|     ......│       久しぶりやんな、やる夫君。
│.          V八:八  l|l       l|l    |:|:./k6|:.:.:|     ......│
│         |:.:;′, , ,           , ,  |八  ノ:.:.:.:|     ......│       どない具合や? なのはちゃんから休みと聞いてな。
│         |八         _       イ:.:.:.:.:.:|     ......│
│         |:.:个:..,     V  ノ     イ|:.:|:.:.:.:.|八      .│        「体調はいいですお。やることもないんで寝ますお」
│            八|:.:.|:.:.:i:.:‥┬   ¬≦∨八 |:.: Ν       ..│
│.            乂{\|:.// ̄\/ ̄V  |  ̄ |八|         │         まあ、そんなもんやろ思うとったわ。
│       ⊂⌒\  / ̄ |\ィ只ト /|⌒    |/-ァ冖つ     .│
│       (_ ィニV     |ニ|/Λ |ニ|.      /ニ(  ⌒\     │
│.           |ニニ\_ノニニ∨//- 人__ /ニニ\__ ノ    │
│            \二二\ニニニ∨二二二二/ニニ /        .│
│            )\ニニニニニ|ニニニニ\二二/\     .....│
│          /  \/::|二二|ニニニニ/:  ̄|     ヽ      .│
│        /     |:::::::ェェ⊂⊃ェェェ{::::::::::|    |     .│
│         {      |::::::「ニニニニニニニ}:::::: |    |     .│
└──────────────────────────┘

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
今しがた被ったばかりの布団を放り投げ、テーブルまで駈け寄る。
画面にははやての名前が表示されていた。
彼女の機体のエンブレムである、錦絵風の夜空を翔ける鴉がアイコンとなっている。

通話に出ると、はやての朗らかな声が聞こえてきた。
あっけらかんとしているが、柔らかくて優しい声だ。聞いていて悪い気はしない。

奇遇というべきか、聞けばはやても非番だということだった。

「あんなぁ、やる夫君。人間、寝てるだけでも疲れるんやで?」

「そ、そうなんですかお?」

はやてが何の気もなしに言った言葉に、一瞬遅れて驚く。
寝ていれば疲れないものではないのか。

「寝るのはええねん。けどな、寝てるだけだと疲れんねん。
人間そういうもんやで? 遊んでばっかでも、寝てばっかでも、働いてばっかでも。
それだけやってっと疲れんねんな」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

2136 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/03/23(月) 21:25:11 ID:vXkfwouk0

┌───────────────────────────────┐
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│        |.:.:|.: .: .:|.:.:| 八.: .: .: .:|〃 _)ぃハ Y.:.| 〉/.: : |              .│   せやなあ、そしたらお姉さんに付き合ってもらおか。
│        |.:.:|.: |.:八.:./ ,,,,_.:.:.i|   乂ぅ少 j:/|ノ:|.: .: | ____           │
│        |.::.|.: | : .: 八 Y _)心jリ     , , , / :|.: :|.: :/  / ̄\       │   そないに部屋で腐っててもしゃーないやろ。
│        |.:.:|:八 .: .: : :人乂ぅッ           八.:/  /       \    .....│
│        |.:.:|.: .:.\ .: 〈:心 , ,  ` _ ノ   / :|.: |\  |             .│   支度して本部まできいや。
│        |.:.:| :(\( \.:.:. 个 .         イ/|:/| / \〉   |        .│
│        |.:.(\\ \ \(\ ::::/ ).‐--</ 〈:/.::| ̄ ̄\   |  /    .....│   「わ、分かりましたお」
│        |:/ \\\ \ \ \ //::::://-:\ /:::八    \ | /      ....│
│        / r‐ミ\\(``~、\ `'<〈/|_://--<:\       〈         │    まったく、こうゆうんは男の子から誘うもんやで?
│          )>  .,   ニ=- ..,_      ̄\へ::::::/:::|\    〕        .│
│             \    r''        〕:::::\:::::|::::::\   \     .....│    私やし、ええけど。
│             _/)> _ と _,,....,, __  /:::::::::::|\::::::::/ \         .│
│       __/ ̄ ̄~"''~、、---):::::|: :/|∨:::::::::::::|::::|\/ ::::::: \      ....│
│     /  /         `丶、::: |:/ :|/::::::::::::::/:::/::::::\::::::::::/\     ..│
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流されるまま、本部ではやてと待ち合わせることとなった。
特に予定もなかったし、不都合もないので、断る理由もなかった。

「十時くらいにエレベーターホールで待っとるわ、ほな」と切られ、
端末を耳から離す。支度、といっても、どうすればいいのだろうか。

とりあえず、ベッドに寝転がったせいで皺ができたシャツは着替えよう。
よれよれの服で来られては、はやてもあまりいい気分ではないだろう。
そう思い、クローゼットから似たような服を引っ張り出し、ハンガーを放った。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

2137 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/03/23(月) 21:25:24 ID:vXkfwouk0

                        ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                                   □

                               ・

2138 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/03/23(月) 21:38:22 ID:vXkfwouk0

                ___
             ,,.。+''"斗-. _ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|
         ,,.。+''~ 。s≦三三|    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~ |                        __,,,...(;;;;、
、     ,,.。+''"。o≦三三>'"| ̄             :|_____________  -‐─   ̄、、、、ノ;;;;;;;
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     ``~、、  ⌒^^'=-  _  ~^' =- ..,,,_             ̄ ̄¨¬…─‐-=ニ二三三三三三
.Y^f⌒ヽ、     ``~、、       ``~、、    ``'' =- ..,,_            r───--ミ  ̄ ̄_
││  ヽ`ヽ       ``~、、      ``~、、   r──--ミ ^^'=-  ..,,,_  弋 ̄ ̄l ̄2 | -=''"⌒
││   l  :|゙''ミs。.         ^^'=- ..,,_        \ ≧zr‐─`'Y__,,..。+-=''"⌒≧=.┴─..┘_,,..。
└│`ヽ、 」  |    `゙''ミs。           ¨ ‐_,,.. -<  |  1_|       _,,.。。+-=''"⌒
  └マニヘ └       `''ミs。 _,,..。。+‐= ''"⌒ ̄     ¨ ̄ ̄_,,...。。+-=''"⌒ ̄ ___,,...。。+-=''"⌒
 ̄ ̄ ̄`'マニヘ、` .┌< ̄ ̄           _,,..。。+-=''"⌒    _,,..。。+-=''"⌒
       `マニヘ、|   ≧s。   _,,.. +‐'''"⌒ ̄   _,,..。。+-=''"⌒
         `マニニ心、   | ̄ ̄    _,,..。+‐''"⌒

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
なのはに連絡を入れ、ほぼ着の身着のまま本部まで無人輸送機で向かった。
はやてに誘われたので出かけてくると言ったら、なのはは少し嬉しそうだった。
楽しんでおいで、と軽やかな声が聞こえ、薄っすら微笑む彼女の顔が思い浮かんだ。

非戦闘時くらいちゃんと休めくらいに言われると思っていたが、意外だった。
ともあれ、嬉しそうにしていたなら問題ないだろう。

ステーションを抜けてエレベーターホールまで行くと、
人込みの中にはやてを見つけた。
いつものビジネススタイルで、他の人と服装こそ大差なかったが、
いかんせん身長が低めなので分かりやすかった。さすがに口には出さなかったが。

はやてはにこやかに手を振って挨拶してくれたかと思うと、
「まあまあ元気そうで何より」と、少し腕を上げて頭を撫でてきた。
少しだけ、幼い頃に父母にそうされたような気がして、懐かしい気持ちが湧き出てきた。

そして、そんなはやてに連れてこられた場所だったが、見慣れぬ施設だった。
そのままエレベーターに乗って地下に行くと、そこには資料の中にあったような、
旧時代の繁華街のような光景が広がっていた。

はやて曰く、ブライドル地下は商業及び遊興施設としての色合いが強く、
ショッピングモールを始めとしたさまざまな施設や店が立ち並んでいるらしい。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

2139 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/03/23(月) 21:45:16 ID:vXkfwouk0

     ____
   /      \
  /  ─    ─\
/    (●)  (●) \     みんな泳いでる……というより、はしゃいでるだけの人も結構いるお。
|       (__人__)    |
./     ∩ノ ⊃  /     えっと、プールっていうのかお。不思議な場所だお。
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /






     ____
   /      \
  /         \
/           \      ……それよりも。
|     \   ,_   |
/  u  ∩ノ ⊃―)/
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
天井に投影された太陽に照らされた街並みを眺めつつ歩いていると、
あっという間に目的地に着いてしまった。
そこはドーム状の大きな建物で、中にはレストランや休憩スペース、
トレーニングルームや屋外プールがあるとはやては説明してくれた。

とりあえず、言われた通りに渡されたチケットを受付のスタッフに見せ、
人でごった返す男子更衣室でロッカーに荷物を預け、
一度全裸になって貸し出されたトランクスのような水着を履いた。

皆一様に裸一貫になっているものだから、意外と恥ずかしくはなかった。
そこまではいいのだが、プールの方に出てきて、少し困った。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

2140 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/03/23(月) 21:57:30 ID:vXkfwouk0

              .。: : ¨ ̄ ̄¨: : 。.
            ./:/://:/M:{:.:| |: \:\
            /://:/.:!: |  |: | |:|:: :ハヽ゚。
           ./:/.:|: |:|从| ̄`Ⅵ:|:|:|:|f=|x}:!
          /://.:|: N ,ィチ圷ミ从{乂N=|:.|:|
         /://|: :|: |{  辷リ    佇|:.j: |:|
        /: :.//: |:/|: |       ヒ! j/:.:.|:|
       i{イ/{:{: :/':.:|: |入   ー-´ ,イ: :./:j               お待たせー……やる夫君?
        { 从/ ̄N从 >。   .イ: l: : ル’
         ./ r‐ 、 乂{ハ  {`¨}イ}/j/                 なに固まっとん?
        , ' / 三}j  ☆_ >‐-<
       / ,{  ニjヽ/===.≧x  ァ=-。.         ┌‐ュュュ、
     / /  ノ  {========.Y=く====ハ        { ‐_つj」
    /_, '   / \ 人=======.ノ-< ====}      ! ノ´.}
  .〃´    /    \/` ー‐ ´    `ヽノ     / ヽ ノ
  {    /       \          ゚。   /   /
  廴_/                      ト、. /   /
                 }/        {/   , '
                ノ        i |   /
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大勢の人が半裸で水遊びに興じていたり、プールサイドの椅子に寝転がっていたりと
異様な光景が広がる中、はやてもまた、似たような格好で立っていた。

水着、と言えば聞こえはいいが、ほとんど下着のようなものではないか。
乳房や臀部などは紺色のビキニで隠されているが、形が丸わかりである。
谷間まで見えてしまっているし、腰回りやら何やらと色々と目に毒だ。
普段はジャケットで隠されている肌が露わになっているのを見て、
何も言えずに俯いてしまった。

「なんや、慣れない場所で緊張しとるんか。
……ほら、私たちリンクスって、ただでさえ動かへんやろ。
コックピットでも磔みたいなもんやし、こうやって運動しにこんと、身体も鈍るんよ。
あと、まあ、女性としては、運動せんと、ね?」

気恥ずかしそうに笑うはやてに、どう反応すればいいか分からず、頷いた。
彼女としては、ろくに運動していない自分を気遣って連れてきてくれたのだろう。
こちらも、あまり露骨な目線をやってはいけないというものだ。

ちょっとした仕草で微かに揺れる胸元から必死の思いで目を逸らし、
そこでようやく、自分のことに思い至った。

そういえば、自分も自分で半裸ではないか。
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2141 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/03/23(月) 22:11:26 ID:vXkfwouk0

     : ィ´ ̄ ̄ `ヽ :
       ー-''  ヽ、__ヽ
   : / (  )  (  ) ヽ
    { |i|T(_人_) u  }
    !  u  |--|    / :
   : 丶.   |_j  _ノ
      ゝ  ー‐  ヽ :
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     /         ',
      !
   : {          i
     i  /      i j } :
     lヽ/       !ノ !
     !          l
    : i  |ー --- ―i j
      ヽ!       |/ :

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それから、軽いストレッチを済ませると、はやてと一緒にプールへと入った。
一応、水着を着ているということで許されてはいるが、
状況だけ見れば、半裸の男女が水遊びをしていることになる。
正直、リラックスなどできそうにもない。

「やる夫君、泳いだことあるん?」

はやてがプールの縁に座り込み、しなやかな足を揺れる水面に漬けると、
思い出したかのように聞いてきた。もちろん、ない。
素直にそう答えると、はやては「んー」と人差し指を下顎に当てて小さく唸った。

「とりあえず入ろか。ほれ、底も大して深くあらへんよ」

はやてが手本を見せるように身を投げ出す。
小さな飛沫が舞い、肩から下が水中に揺らいで見えた。
こちらへと振り返り、「捕まって」と言わんばかりに両手を差し出してくる。

涼しい顔をしているはやてとは対照的に、何とも言えず煩悶としていた。
子供だったらまだしも、こちらとて十八の男である。思うところはある。

とにかく入らねば始まらない。と腹を括って、けれどはやての手は掴まず、
水に体を滑り込ませるようにプールへと入った。ざらつく床に足が着き、
やはり胸板あたりまで水に浸かる。
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2142 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/03/23(月) 22:27:19 ID:vXkfwouk0

               ___(⌒ヽ
               /ノ   ヽ、_⊂_ ヽ
       (⌒ヽ∩/( ○)}lil{(○) |(⌒ヽ
        ヽ  ノ| :::  (__人__)   ::| ⊂ `、         このプール……『深い』ッ!
         \ \    )i!!il|l|   / /> ) ))
      o   (( (⌒ )、 ヽ_ `ー‐' ,/ / / 。       「んなわけあらへんやろー、落ち着きや」
       。   \ \ /          /  ゚
~~~~~~~从り゚Wv"゛“W”"v“"W~~~~~~~

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まずは基礎的な、水の中での感覚に慣れることから始めようとのことだった。
一緒に水中を歩いてみたが、なんとも不思議なものだった。
これだけの量の水を見ることも初めてだし、今の時代、
川や海などに行くことはほとんどないだろう。
そもそもの話、行ったところで汚染で入れないのがオチだ。

時折足を滑らせ、思いっきり沈んだ。訳も分からず手足を滅茶苦茶に動かすが、
それで浮かぶわけもない。苦笑するはやてに何度も引き上げられながら、
プールの外周を歩き終えるころには息も絶え絶えとなっていた。
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2143 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/03/23(月) 22:35:29 ID:vXkfwouk0

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      }      } }   } \

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そしてやはり、目の前で躍るはやての肢体は無視できなかった。
かすかな仕草でも揺れる胸元や、ふとした折に見える少し大き目ながらの臀部、
腰回りの柔らかな曲線と、こちらの平静をかき乱すには十分すぎた。

男同士で来ていたならば、まだ楽しめたかもしれない。
周りで泳いでいたり遊んでいたりする人々に目を向けたり、
女性の水着姿に現を抜かしたりもできたかもしれない。

だが、今はそんな余裕はなかった。
具体的には、プールから上がったら危ない。
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2144 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/03/23(月) 22:47:45 ID:vXkfwouk0

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               Y八  ´__     /イ::::l:::l人ヘ\ヽヘ:l
             7::l::> `‐´ イ/::::/ 人::ハ::ヾ:ル リ
              ,::::::l::::从 ` ´,:://:::::イ/_ V` 7           おっとと……さすがにへばってきてんねんな。
            从Ⅶ V:{ ノ /{/ ’´   ヽム= - _
              ヾミ`//  , '         V\  丶        ちょっと休憩しとく?
               / ノ   /           Ⅶ ヽ
                / ´,   _/           Ⅶ           「すみません、上がりたいですお……色々持ちませんお」
             / / / _x/〈       ヽ      Ⅶ
           '           _ l γ        ト、 ′  ハ     'V
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         γ´乂八     ///   _ ハ     l ’、
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          > -ミ   l       > ´     l   V
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         γ´_                _   -<   ヽ    V
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                |                   ヽr= ァヘ   ’,
                l            `   入.´ 〉   V
            >==.入             ヽ ィ λ Y 入  V
            ヽ / イ ト ミ ‐-ァ==-- ‐ ¨´     ハ ヽVヽトァ lY

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なのはから最低限の性教育は施されたが、
それでも自分は旺盛ではない方だと思っていた。

きっかけもなく女性のあられもない姿を夢想したりすることもなければ、
一人でそういった情欲を処理する頻度もそれほど多くはなかった。

だが、こうして目の前で、ほぼ下着のような格好で、
女性と触れ合っていては抗えないものもある。
男とはかくも単純でままならないものなのか。

体力と気力を使い果たし、ぐったりと水に浸かったまま壁に背を預ける。
堅くて冷たい感触は、はやての色気に当てられた胸の芯を冷やしてくれるかのようだ。
深呼吸し、なんとか色々収まったところで、ようやくプールから上がることができた。

幸い、周囲から変な目で見られることはなかった。
皆、各々が遊んだり泳いだりするのに夢中で、自分たちのことなど意に介さない。
ただ、時折はやてへの視線を感じはしたが。

可愛らしい容貌に似つかわしくない成熟した体つきだ、多少は目立つ。
通りすがる人も、自分は見ずともはやてには一瞥くれているように見えた。
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2145 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/03/23(月) 23:07:02 ID:vXkfwouk0

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2146 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2020/03/23(月) 23:09:00 ID:vXkfwouk0
ううむ、申し訳ない。眠い。散々眠ったはずなのに眠い。

今日のところはここまでとさせていただきたい。

やはり遅めに起きるより早めに寝るのが一番なのか……最近はあまり体調もよくない。

次回は来週の月曜日、3/30の午後八時からとしよう。

-◆x0SRSoJXe.

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